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空間と体験のアクセス フォー オールを目指して~センサリーバッグの開発と実装

インクルージョン&アートで開発したセンサリーバッグ

来創造研究所のプロジェクト「インクルージョン&アート」が取り組む「センサリーフレンドリープロジェクト」は、まぶしい光や大きな音、人ごみやにおいなどの刺激に敏感な感覚過敏の方や、じっとしていることが苦手な発達障害の方、そしてそのご家族が、外出や空間の体験をあきらめることなく、安心して快適に過ごせる環境と空間をつくることを目指しています。

これまでに、スポーツ施設での「センサリールーム」の設置や、イベント会場・小学生の放課後の居場所での「カームダウン・クワイエットブース」の導入など、さまざまな実証実験を行ってきました。その過程で、感覚の特性によって外出をためらう方が多くいるにもかかわらず、この課題への社会的認知がまだ低いことが浮き彫りになりました。

そこで、空間づくりとともに、こうした課題を「可視化する仕組み」も必要だと考え、センサリーバッグの開発に取り組むことになりました。

センサリーバッグとは センサリーバッグは、欧米のスタジアムなどで導入が進んでいるサービスです。大きな音を軽減するイヤーマフや、心を落ち着かせるセンサリートイを詰めたバッグを来場者に貸し出すことで、感覚過敏の方や発達障害の方も安心してイベントを楽しめる環境を提供します。



「さりげなく、でも自分らしく」—デザインへのこだわり
この取り組みを参考にしつつ、私たちがセンサリーバッグの開発で大切にしたのは、「自身の感覚の課題をさりげなく可視化できるロゴマークのデザイン」と「普段使いもでき、持っていて自慢したくなるデザイン」の2つです。
ロゴマークは乃村工藝社オリジナルデザイン※1、バッグ全体には株式会社ヘラルボニー※2のアートを採用しています。

これまで、自分の感覚の特性によって不便さや困難を感じてきた方々に向けて、福祉的な機能にとどまるアイテムではなく、「持っていることが誇らしくなるデザインのバッグ」を目指しました。日常でも気軽に使え、個性を大切にできるデザインで、より快適な外出のサポートを目指しています
 


センサリーバッグのこだわりと未来への展望
センサリーバッグに入れるアイテムは、専門家や教育者など、当プロジェクトのアドバイザーの助言をもとに採用しています。感覚への作用が期待できるセンサリートイは、気軽に入手できるものも取り入れ、「身近なものでも気持ちを落ち着かせたり、集中を助けることができる」という視点も提案しています。
さらに、今後はオリジナルのセンサリートイの開発にも取り組んでいきます。

これまで、野球やサッカー観戦、博物館、イベントのカームダウンルームでセンサリーバッグを提供し、多くのユーザーから高い満足度を得ています。今後は、外出の移動中やエンターテイメント施設でも活用できる可能性を広げ、より多くの人が安心して外出を楽しめる環境と仕組みづくりを通じて
「すべての人に開かれた空間と体験」を実現するために、これからもアクセシビリティ向上に向けた取り組みを進めていきます。

 

※1 乃村工藝社のビジュアル・グラフィックデザインの専門ユニット  
  IVDhttps://www.nomlog.nomurakougei.co.jp/article/detail/145/
※2 株式会社ヘラルボニー
株式会社ヘラルボニー | 異彩を放つ作家とともに、新しい文化をつくるクリエイティブカンパニー

松本麻里

デザインディレクター

「空間と体験のAccess for All」をミッションに、多様な人々が「文化芸術体験を介して社会や世界とつながり新しい価値観と出会う」をテーマとする未来創造研究所「インクルージョン&アート」のリーダーを務めながらユーザーや当事者と共に誰もが心地よく過ごせる場とプログラムのデザインを行う。

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