
Project Title
AI
プロジェクト概要
創造性を拡張するAIの探求と実装
- 動機・課題
進歩目覚ましいAIに関して、過剰な期待、あるいは期待に及ばないなどの評価が入り乱れているのが昨今の状況です。このチームでは、そのようなAIを取り巻く技術や状況について、自らがツールを作成したり、新しい技術をテストし状況と伴走しながら、空間デザインにおける可能性を模索しています。そこでは、「クリエイティビティに寄与する」というキーワードのもと、AIとの関係性を探っています。それはAIツール自体を作成することや、既存のAIにおけるユニークな使い方、さらには業務効率改善によるクリエイティブワークへの時間創出も目的に寄与するものと捉えて、プロトタイプ制作を進めています。
- 仮説・解決方法
①アメニティ生成AI:既存のデザインされた空間のデータ(文書・画像・3D)をアセットとして学習させることによって、その空間固有のデータセットが生まれます。そのデータセットに基づき、空間に紐づくアイテムを画像生成させ、その画像を実際のアイテムに紐づけるサービスのプロトタイプの制作
②空間デザインフローの改善:画像生成AIで作成された空間イメージや、それに紐づくBIMデータをもとに、建材データをつなげることに寄って、アイデアの生成からラフな見積もりまでを一挙に作成するシステムを作っています。
- 将来的なビジョン
空間づくりにAIを活かすとき、「リソース → コンバート → ジェネレート」という3つのステップで捉えています。まず「リソース」は、空間に関する素材や情報のこと。たとえば写真や図面、使う人の特徴、ブランドの雰囲気などがそれにあたります。次に「コンバート」では、AIがそれらの情報を読み取り、意味を見つけたり整理したりします。どんな動線がよさそうか、光の入り方はどうか、などを考えてくれるイメージです。最後の「ジェネレート」は、実際の提案やアイデアを出す段階。家具の配置や照明の計画、空間のイメージボードなど、AIがいろんな形で提案してくれます。たとえば、小さなギャラリーをつくるとき、AIに写真や希望を伝えると、「静かで作品が引き立つ空間が合いそう」と判断して、展示のレイアウトや照明の案を出してくれる、というような使い方ができます。この流れで考えると、AIが空間づくりのパートナーとしてどう関わるかが、ぐっと見えやすくなりますと捉えています。
なかでも私達はリソースの観点を重要視しています。コンバートもジェネレートは様々な競争開発が進んでいますが、ユニークなアウトプットを生成するためには、何よりも固有のリソースをもっていること、あるいはこれまでリソースだと思われていなかったものをリソースと捉えることが重要だからです。固有のリソースなくして、固有のアウトプットはなしえません。そのような視点から空間デザインにおけるAI開発を取り組んでいます。

大栁 友飛
デザイナー
「空間とはなにか?」という根源的な問いのもと、デザインを通じた空間の探求と可能性の拡張がミッションです。空間のデザインはもちろん、マテリアルの開発やシステムの構築、ときには研究をして論文や書籍の制作を行うなど、多岐にわたって活動中。

江藤 忠邦
ディレクター
未来の技術リサーチを淡々と進める。大学や外部研究所との共同研究を通じた学術知見を深める。

吉武 聡一
デジタルクリエイティブディレクター
空間体験のプランニング、デジタルコンテンツ制作を企画から実装まで一貫して行うディレクター。主な研究開発のテーマは空間におけるデータ活用。乃村が取り組めていない領域で新たな価値・ビジネス創出に挑戦中。