
初めまして、NOMLABの小山田です。
企画展示や展望施設、映像コンテンツなど空間デザインの領域でテクノロジーによる表現づくりに取り組んでいます。(ご覧いただけるProjectとして、Geometric Timberや共鳴するメディア8Kなどを担当しています。ぜひ合わせてご覧ください。)
今回はデジタルに関する情報を発信している社内オンラインサロン「NOMLABランチトーク」より、NFT回に続き第2弾としてお届けします。
「空間を彩る3Dプリンティング」と題して、株式会社積彩CEOの大日方氏をお招きし、NOMLAB メンバーから私小山田、永野、渡辺の4名でトークセッションを行いました。
本稿はトークセッションの内容を一部抜粋、要約したものです。10分程のショート版映像も附せてご覧ください。
スケールが拡大していく3Dプリント
第61回ミラノサローネ国際家具見本市にて日本のHONOKAによる家具プロジェクト「TATAMI ReFAB PROJECT」が「12回サローネサテリテ・アワード」のグランプリを獲得し、3Dプリンターを使って成形された家具の提案が注目を浴びました。
プロダクトから建築まで幅広いスケールに渡って、樹脂をはじめ、コンクリート、セラミックなど様々な素材の3Dプリントプロジェクトが国内外で登場しています。
その中で3Dプリントと空間設計の可能性について、3Dプリントの専門家目線、空間設計のデザイナー目線から掘り下げました。
空間づくりのプロセスにおいて3Dプリントが気軽に選ばれるように

これからの肝は3Dプリントの案内人?
データからダイレクトにモノを作り出す3Dプリントはデータとモノの翻訳機とも言え、
従来のファブリケーションに比べてより複雑な形状を得意とします。
昨今の生成AIツールの発展スピードに一種の怖さすら覚えますが、ビジュアルとしての2Dデータだけでなく3Dデータを生み出すツールがすぐに普及していくことは容易に想像できます。
従来は壁の色や家具を選ぶに留まったユーザーが、壁の造形や家具そのものの3Dデータをデザインする、新たなマスカスタマイゼーションの普及において3Dプリントは重要な役割を担います。ユーザーがデザインした3Dデータを如何にモノに翻訳するのか、その案内人がより重要になるといえます。
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3Dプリントの課題を共有する
より複雑な形状、新たな素材を用いる3Dプリントのスケールを拡大してくと法規的な制約に則る必要があります。プリントされたものは構造体として評価できるのか、新たな素材の防火性能は評価できるのか、これらの課題は事例をもとに議論を重ねるプロセスに時間を要しますが、国内の建築業界では建築基準法に準拠した3Dプリントの建築物の事例が出てきています。
まずは大小様々な事例を増やし、如何にして制約を乗り越えたのかを共有することが空間設計における3Dプリントの可能性をより拡げることに繋がります。
3Dプリントが可能にする未来の空間づくりに少しでも興味を抱いた方はぜひお声がけいただければと思います。

小山田創
デザイナー
プログラミングを使ったコンピュテーショナルデザインを得意とし、企画展示、VRコンテンツ、展望施設など、空間デザインとメディアコンテンツを織り交ぜた空間体験づくりに取り組む。