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新感覚音声MRゲームコンテンツ 「SOUND SEEK powered by oto rea」をDIC実証事業として開催します。

株式会社乃村工藝社は2025年2月7日(金)から2月16日(日)の期間、臨海副都心ウエストプロムナード周辺で新たなゲームコンテンツ「SOUND SEEK powered by oto rea」を実施します。今回の実証イベントは、Digital Innovation City協議会の実証事業として実施するもので、街の中に配置された音を集めてチームで競い合う新感覚の音声MRゲームとなります。既存の空間に新たな設備等を追加することなく、新たなコンテンツサービスを提供することが出来る仕掛けで、公園など公共空間の新たな楽しみ方・魅力づくりに取り組む試みとなります。この実証コンテンツは、当社が株式会社GATARI(以下、GATARI)の技術協⼒のもとで制作する⾳響体験サービス「oto rea(オトリア)」を活用した初めての対戦型音声MRゲームとなります。最大6名での対戦型ゲームで、臨海副都心ウエストプロムナード滝の広場周辺の実空間にひもづけられた目に見えない仮想空間上の音源(サウンド)を、耳を澄ますことで探し出し、相手より早く獲得することを競います。ゲーム体験時間は約10分程度で、参加は無料です。体験希望の方は、こちらから応募ください。《SOUND SEEK powered by oto rea 参加体験者 募集要項》会場:東京臨海副都心 ウエストプロムナード 滝の広場 周辺エリア日程:2/7(金)~2/16(日) (※2/12、2/13はビジネスDayのため除く)時間:10:00~17:00(各回1時間区切り)受付場所:青海フロンティアビル1階受付ブース(東京都江東区青海2丁目4-24)体験所要時間:30分程度(※体験前の説明及び体験後のアンケート回答まで含む)定員:各回6名参加費用:無料参加条件・おひとり様でも複数人・グループでも参加いただけます。(1回あたり最大6人まで)・iPhone iOS 15.0以降、iPhone13Pro以上の端末(ProもしくはProMaxシリーズ推奨)をお持ちの方・上記のの端末に専用アプリ「Auris」をインストール可能な方※ただし上記条件に合わない方でも、現地にて端末貸出しも可能です。参加方法:下記応募フォームで事前お申込みください。日程調整の後、ご連絡いたします。参加予約フォームへ<Digital Innovation Cityとは>東京都は、デジタルの⼒で東京のポテンシャルを引き出し、都⺠が質の⾼い⽣活を送る「スマート東京」の実現を⽬指しており、臨海副都⼼は先⾏実施エリアの⼀つとなっています。臨海副都⼼では、「デジタルテクノロジーの実装」と「スタートアップの集積」を推進する「ベイエリアDigital Innovation City」(DIC)の実現に向けた取組を進めています。具体的には、スタートアップ等が開発する新たなサービスを誰もが活⽤しやすい仕組みづくりを進めていきます。そして、エンタメをはじめ、このまちの特⾊を活かし、様々な先端技術を活⽤した新たな取組を進めることで、まちの魅⼒を⾼め、賑わいを創出していきます。<DIC協議会とは>DIC協議会は、東京都(港湾局)、エリアマネジメント、研究機関、地元企業といった臨海副都⼼に関わる団体等が連携し、臨海副都⼼におけるDICの実現に向けて協議することを⽬的として、令和3年3⽉30⽇に設⽴し、活動しています。  ■昨年度実施した関連プロジェクトOdaiba Time Slip

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NOMURA OPEN LAB 2025を開催します!

「創造的研究機関」をコンセプトに活動する未来創造研究所の研究発表を、下記の通り開催します。※一部内容を1/13 に更新しております。■概要「創造的研究機関」をコンセプトに活動する未来創造研究所。新たにオープンした研究拠点(仮称)Creative Lab. にて、2024年度の研究テーマを展示とトークセッションで発信いたします。空間の未来をアップデートするテーマを、一緒に語りにいらしてください。会場 株式会社 乃村工藝社 (仮称)Creative Lab.    (東京都港区台場2-3-5 台場ガーデンシティビル2階)会期 2025年1月24日(金)~ 2月7日(金)登録 プログラムごとの事前登録制主催 乃村工藝社 クリエイティブ本部 未来創造研究所定員 各トークセッションにつき 30名参加登録については、下記フォームにアクセスの上、ご予約ください。参加登録フォームへ ■プログラム内容■研究紹介展示会期中、未来創造研究所で進めている研究内容の一部を紹介しております。本イベント期間中に現地にお越しいただければ、内容をご紹介させていただきます。■参加予約参加登録については、下記フォームにアクセスの上、ご予約ください。参加登録フォームへ 

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MIDNIGHT PIZZA CLUB Special Exhibitionにて「noon by material record」を展示

2024年12月13日(金)~15日(日)MIDNIGHT PIZZA CLUB Special Exhibition俳優の仲野太賀氏・TVディレクターの上出遼平氏・写真家の阿部裕介氏の3名による旅サークル『MIDNIGHT PIZZA CLUB』とのコラボレーションが決定しました。2024年12月12日に発売される、旅の記録をまとめた書籍『MIDNIGHT PIZZA CLUB 1st BLAZE LANGTANG VALLEY』の出版記念イベントに、音響装置「noon by material record」(以下 noon)を展示します。12月13日~15日に開催される同イベントでは『MIDNIGHT PIZZA CLUB』が旅の途中で撮影したネパールの写真が展示されるほか、上出遼平氏が旅先で収集した音源から制作したアンビエント・サウンドを「noon」でお聴きいただけます。 MIDNIGHT PIZZA CLUBについて 仲野太賀・上出遼平・阿部裕介により結成された旅サークル。ヒマラヤ山脈に位置するランタン谷を歩いた旅を綴った書籍第一弾が2024年12月刊行。第二弾にアメリカ北東部アパラチア山脈の旅、第三弾にニュージーランドの旅をまとめた書籍を刊行予定。 ◾️ MIDNIGHT PIZZA CLUB Special Exhibition 開催概要 ◇日時:2024年12月13日(金)~15日(日)11:00 ~ 18:30 ◇場所:StandBy ◇入場無料 東京都渋谷区神宮前5-11-1   https://maps.app.goo.gl/xECxDd2Et5NCxS4e7 

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口コミのつぎにくるのは「生コミ」?

こんにちはNOMLAB・プランナーの阿部です。施設開発にあたってのコンセプト開発やサービスデザインをしています。特にエンタメ領域が得意です。(ご紹介はこちら)先日の海外出張での一コマ。空港では出国手続きの機械化が進み、おなじみの大行列が改善されてきた昨今。スイスイ進む自動レーンをよそ目に、行列をなしている有人レーンが目につきました。なぜだろうと加わってみて納得、その正体は、パスポートへの出国スタンプを希望する人々の行列でした。遠方の地まで来たことを証明するスタンプコンテンツ。場所とコンテンツの親和性を再認識した一コマでした。今日はこんな「場所とコンテンツ」をお題に、新しい世界を妄想してみたいと思います。示唆1:位置情報の共有場所をコンテンツに昇華させているのは、やはり「位置ゲー」でしょう。その場所に行かないと手に入らないアイテム、その場所に行かないとはじまらない展開があり、位置ゲーは「場所」を上手に価値へと変換しています。実際に地方自治体が位置ゲーとの連携を進める事例も増えているように、コンテンツと位置情報の融合は有効性の高い手段といえます。これをひとつの軸足に、考察をもう一歩進めてみたいと思います。示唆2:バイタルデータの共有先般、ピラミッドフィルムクアドラさんのオフィスで「もし壁」というコンテンツを体験させていただきました。お互いに壁ドンをして、ドキドキが最高潮に達したらメッセージ交換できるという何ともいじらしいコンテンツです。個人的にこの体験のミソは「バイタルデータ」の共有にあると感じました。体温、脈拍、発汗のバイタルデータが分析され相手に共有されることで、普段は目にはみえていない新しい尺度が加わり、いじらしいコミュニケーションへと発展しています。idea seeds:位置情報とバイタルデータを組み合わせた「生コミ」サービスこれらの示唆をふまえて、位置情報とバイタルデータをかけあわせたコンテンツを妄想してみます。スマートウォッチ、スマートリングなどのウェアラブルデバイスから取得できるバイタルデータを、端末の位置情報と紐づけて分析・公開するサービスです。世界各地でのバイタルデータの変化を「興奮度」「緊張度」「リラックス度」などの指標で、地図アプリ上から確認することができるものです。これが実現すると例えば、・展示会のとあるパビリオンが、人々をものすごく興奮させている・一見地味な地方テーマパークのお化け屋敷が、人々を異様なまでに怖がらせている・商店街の老舗銭湯サウナが、人々を日本一整わせている・人里離れたシークレット野外フェスが、人々の心拍を爆上げさせている…みたいなことが見て取れるようになります。その場所その場所の特性がバイタルデータによって見える化されることで、そこへの注目や人流が変わるきっかけにもなっていくでしょう。今は口コミ評価の信頼性が高いですが、より客観性の高いバイタル評価は将来、口コミを超える評価基準になるかもしれません。それは名付けるならば、口コミならぬ「生コミ」(生体データ・コミュニケーション)とでもいいましょうか笑。高齢者の見守りサービスや、建設現場の作業者安全管理サービスなど、位置情報とバイタルデータを組み合わせたサービス開発が各所で進むように、Google Mapに「生コミ」が組み込まれる日も近いのかもしれません。人々の「生コミ」が共有された世界。ポスト・インフルエンサー的な職能として、人々の胸の高鳴りをあげる「テンション・クリエイター」が登場しているかもしれませんね。プランナーがそんな職能を担っていたいなと妄想を膨らませながら、本日のidea seedsはここまでとさせていただきます。

コラム

空間と体験に溶けるナビ

こんにちは、NOMLABの永野です。 空間デザインを主軸に、映像や光といったデジタルな演出と空間との橋渡しをしています。そんな私は趣味兼ダイエットとして、サイクリングをしています。そもそも運動嫌いで、元々サイクリングにも全く興味が無かったのですが、十数年乗っていた自転車が壊れた時にたまたま中古のスポーツバイクを買ったことがきっかけではまってしまいました。そもそもがめんどくさがりなので、無駄なことはしたくありません。ところが都内周辺はドアtoドアで考えると電車と同じくらいの時間で目的地に到着できることにまずは驚きました。そんなこんなで普段の移動を自転車にしていたらだんだんと距離感がバグり、「20Km?近いな」、みたいな感じ方になってしまいました。自転車の頼れる相棒はナビです。どんな移動手段でもそうですが、ナビさえつけておけば必ず目的地にたどり着けるという安心感があります。そして道を間違えて無駄なことをしてしまったなぁ、といった後悔も生まれません。ところで、自転車のルート検索は歩行や車のナビよりも難しいことが多いです。坂道や砂利道、風の影響などを考慮して最適な経路を探すのは難しいのです。その結果かはわかりませんが、ナビは同じ出発地と到着地でも微妙に異なるルートを案内することがあります。行ったことがある道ですからナビに従わなくてもたどり着けるのですが、そこで試しにナビに従ってみるとこんな道があったのか、という新しい発見があったりします。案内されたルートは基本的にはナビが導き出した”最短”経路というお墨付きがあり、それでいて今まで通ったことのない場所への気づきという楽しさを提供してくれる。もちろん気の向くままに移動してみる冒険の楽しさというものはありますが、この時間のない現代において納得感のある冒険を提供してくれるシステムはとてもありがたい存在です。世界の広さを変えたナビナビという話で言うとGoogleとスマホの登場によって旅行の体験が大きく変化したということはよく言われているかと思います。特に昔を思い返してみても海外旅行の変化はすさまじいものがあります。以前の海外旅行は事前のリサーチにもかかわらず、全然思い通りに行かず冒険の連続でした。しかし昨今ではGoogleで検索すればほとんどの情報が手に入り、道に迷うことはほとんどありません。言われた通りに電車に乗って歩けば目的地についています。まるで同じ日本にいるのかと思う位には世界の体感としての広さは急激に狭くなりました。そんな物足りなさを、まるで青春を懐かしむような感情を持ちながらも、では海外旅行が楽しくなくなったのかというとそんなことはありません。ベーシックな移動の最適化は結果としてローカルな冒険を楽しむ機会や時間を増やすことにつながりました。人々の移動体験と空間体験はナビという仕組みによって激しく日々変化しています。空間の中にはナビとしての要素が溢れているここで自分の主戦場である空間設計に視点を向けてみます。どんな建物にもたいていサインや案内板があります。最近はデジタルサイネージ等で案内を表示することも多いでしょう。また、直接的なサイン以外にも空間の形状や明るさ等によって人を誘導したり、建具によって動きをコントロールしたりと、様々な手法で人々をナビしています。こういったサインの手法は太古の昔から行われており、何なら日本はこういったサインが過剰とすら言われています。コンビニのコーヒーメーカーに大量のテプラが貼ってある画像を見たことがある人も多いかもしれません。では前段で話していたナビと、この昔からある空間のナビの大きな違いは何でしょうか。主観ではありますが・デジタル化されている・パーソナライズ化されているこの二つがとても重要ではないかと思っています。そしてその中に更にあいまいさ、遊び心、ちょっとした無駄を設けてあげることでサイクリングのようにより空間体験が豊かで楽しく、かつ直感的でスマートな体験が生まれるはずです。デジタル化、パーソナライズ化されたナビを空間に取り込もうスマホを見て歩いていたら周りの景色を見逃した、そんなことがよくあると思います。もちろんナビはスマホや専用端末であるからこそ高いパーソナライズ化を達成できますし、最大限の機能を発揮しますが、近年の技術の進歩によってそういった機能が空間にも取り入れられる土俵が整ってきています。ソフトウェア的側面はスマホ等のナビとある程度共通化できるという考えでいうと、空間として注目するべきはハードウェアです。近年の技術革新にはわかりやすく派手なデジタル技術よりも、設計思想や仕組みにデジタル技術を取り入れることで従来の素材や機能性に新たな付加価値を与えるような分野が多いです。一見従来の建材のような見た目でありながら、その背後から実はデジタル制御された光、音、匂いといった要素がリアルタイムに表出する、そういった素材・表現の技術です。まだまだ普及レベルにはいたっていないですが近い将来普段の内装設計の素材選定の中で当たり前のようにそういった技術・素材を選択する時代が来るでしょう。例えば、、普段何気なく腰掛けるようなベンチが絶妙な振動でその場との一体感をより盛り上げてくれる、逆にうとうとしている時に寝過ごしてはいけないタイミングで起こしてくれるかもしれません。空間ごとに細かく制御された香りがその場でリラックスしたい人に影響を与えずにお腹がすいている人だけをレストランがあるエリアへと導くといったことも近い将来実現しそうです。何気なく壁を触ってみると振動や暖かさで熱気を感じる(実は壁の向こうでライブが行われている)みたいなことがいたるところで起きていると街歩きがもっと楽しくなりそうです。空間として重要なマテリアル感のある空間から必要な時だけ光や音、におい等で情報が浮かび上がりナビをしてくれる。そしてその情報が近くにいる人をセンシングしてパーソナライズ化されている。そんな未来の空間を作るべく、色々な技術的情報をキャッチアップしながら日々設計をしていきたいと思います。

コラム

どうぶつたちのオフィス改革!? ~動物園だって立派な“ワークプレイス”だ!~

みなさん、はじめまして。動物とテクノロジーが大好きなNOMLABデザイナーの山岸将大です。平日はNOMLABの一員としてデジタルを空間に活かすプロジェクトに携わり、休日は動物たちに癒されながらも「なにかこのテクノロジーを動物のために活かせないかなぁ」なんて妄想を膨らませている人間です。今回はそんな山岸がidea seedsという場を借りて、①動物たちが過ごしている「動物園」を彼らの「ワークプレイス」として捉えなおすという視点の提案。②乃村工藝社がワークプレイスに関して試みている取り組みを「動物たちのためのワークプレイス」へと展開してみるとどのようなことが考えられるか。ということに思いを巡らせてみようと思います。山岸の動物愛を原動力に執筆したため少し長めの記事になってしまいましたが、どうぞ最後までお付き合いいただけると嬉しいです。地球規模の重大任務を遂行している動物たちいきなりですが、みなさんは「動物園の役割」について考えたことがありますか?一般的には娯楽の一つとして認識が強い動物園ですが、動物園の役割はそれだけでなく動物たちの生態を研究し、人々に知ってもらい、そして絶滅の危機にさらされている種がいれば保存する。かけがえのない地球の“種の多様性”を未来に受け継いでいくための大切な場所でもあるのです。いつものんびりしているようにみえるゾウやライオンたちも実は地球規模での重要な任務を担ってくれているのかもしれませんね。ホモ・サピエンスだけのオフィス改革なんてずるいぞ!さて、ここ数年、コロナウイルスをきっかけに私たちの働き方、ワークプレイスに対する考え方は大きく変わりました。リモートワークへの対応に加えて、ウェルビーイングという概念も浸透したことによって社員が幸せに働ける環境を整えるためのオフィス改革を多くの企業が行っています。そんな中、動物園を歩いていると「きみたちホモ・サピエンスだけ素敵な環境で働けてずるいなぁ、僕たちだって地球の重大任務を背負って日々働いているのに!」なんて声がどこからか聞こえてくる気がするのです。確かにごもっともなご意見。動物園の檻の中、柵の中は彼らの住まいであると同時に、彼らが地球の未来を背負った重大任務を遂行する“ワークプレイス”でもあるのですから。ということで、新人デザイナーの山岸が動物たちの思いに応え、この場を借りて動物たちの“ワークプレイス”への考え方について一石を投じてみようと思います!動物の展示手法(飼育環境)だって変わってきたとはいったものの、改めて調べてみると、動物たちの飼育環境への考え方もヒトのワークプレイスの考え方と同様に、動物園を取り巻く多くの専門家によってすでに議論が重ねられており、時代とともに変化・改善されてきたようです。動物園が設置され始めた当初は生きた動物の身体的特徴だけを見せる目的で狭い檻の中で単独飼育する展示手法(形態展示)が主でした。しかしながら、近年では動物福祉の観点などから、動物の生態や生息環境に基づいた展示手法(生息環境展示)や野生動物本来の動きを引き出す工夫が施された展示手法(行動展示)など、動物たちの目線でも考えられた飼育環境へ大きく移行しており、より快適なものにするための努力や研究が日々続けられているようです。動物園を動物たちの“ワークプレイス”として捉えてみる~ヒトのワークプレイスと動物たちのワークプレイスの共通点~このような現状や流れも踏まえた上で、本記事では動物たちの飼育環境に対しての一つの考え方として「動物にとっての“飼育環境”をヒトにとっての“ワークプレイス”と同様の観点で捉え、ヒトのための試みを動物園にも持ち込んでみたら新しい考え方・面白いアイデアが生まれるのでは?」という小さな視点の提案をしてみようと思います。具体的なアイデアの話に入る前にもう少しだけ、動物の飼育環境をヒトのワークプレイスと同等に捉えることの妥当性(二者の共通点)について考えてみようと思います。まず、動物たちの飼育環境とヒトのワークプレイスの変化の流れを比較してみましょう。前章で触れた動物そのものを見せる展示手法から動物たちの本来の姿を引き出す展示手法への移行は大枠で捉えると「管理者・来園者の視点のみでの動物園づくり」から「動物たちの視点を加えた両視点からの動物園づくり」への移行と捉えることができそうです。一方で近年のヒトのワークプレイスの変化についても、従来の「管理者視点での効率を重視したオフィスづくり」から「社員の視点を加えたウェルビーイングを目指したオフィスづくり」への移行と考えることでき、これらは共通した流れであると捉えることができるのではないでしょうか。このように考えると、時代とともに変化していくヒトの生き方に対する価値観は、その他の動物たちの生き方に対する価値観にも波及していくように思えます。改善の手法についても比較してみましょう。近年のオフィス改革の主流は、増築や新築ではなく、予算などの観点で現在使用しているオフィス空間を活かしながらも、社員たちが快適に働くことができるための工夫を施していくという方向性が一般的です。動物園のリニューアルや飼育環境の改善においても条件は同様で、予算や敷地の観点から現在の施設を活かしながら最小限の投資・工夫で最大限の効果を生み出す方法を探っていくことが重要になります。例に挙げたような二者の共通点から考えても、社員の幸せを実現させるための試行錯誤や考え方は他の動物たちのワークプレイスにも応用できる可能性が大いにあるのではないかと僕は考えています。乃村工藝社のワークプレイスでの試みを動物園にも展開してみた!さて、今回は本記事を執筆するにあたって弊社のワークプレイスへの取り組みや考え方を動物たちのワークプレイスに応用するとどのようなことが考えられるかという具体的なアイデアを膨らませてみました。Idea 01_「人流解析」の動物園への展開乃村工藝社のコミュニケーション・スペース「RESET SPACE」では設計・運用の段階で人流データを活用し、分析・改善を行ってきました。RESET SPACEの利用者の人流データを分析していくと、“自動販売機”が人流において大きな引力を持っていることがわかり、その影響を考慮して什器の配置を変更すると中央部での人々の交流が増えるということが実現できたそうです。この知見を活かし、後年設置されたRESET SPACE_2では自動販売機を空間の中心に敢えてもってくることでより利用者の回遊性を向上することができています。このような空間の設計手法をトラたちのワークスペースに展開してみましょう。その名も「“虎”流解析によるウェルビーイングなトラ空間」。 現在、トラたちのワークプレイスではトラ本来の野性的な動きを引き出してストレスを解消させるためにタイヤやブイなどの遊具を設置するなどの工夫が試みられています。ここに“虎”流解析を導入して、トラの動きを分析してみたらどうでしょう。トラの本来の姿を引き出すために設置された遊具たちもヒトを惹きつける自動販売機と同じように、配置を変えるだけでも使用頻度が上がったりトラたちの興味を惹きやすくなったりする可能性があるのではないでしょうか?動物たちアクティブな動きをより多く見ることができるようになれば動物園の魅力も倍増しそうですね。Idea 02_「メタバースオフィス」の動物園への展開乃村工藝社では、リモートワークをするヒトのウェルビーイングに貢献する取り組みとしてH2L株式会社とBodySharingⓇ技術を用いたメタバースオフィス『BodySharingⓇ for Business』の開発・運用実験を進めています。『BodySharingⓇ for Business』では、ワーカーのふくらはぎに装着した筋変位センサデバイスから、「元気度」や「リラックス状態」を推定し、メタバースオフィス内のアバターに自動反映させる機能があり、他者との共感を生み出すことでコミュニケーションの量と質を向上させることを期待しています。この試みを動物のワークスペースに展開してみましょう。これは、、、「メタバースオフィ“Zoo”」とでも名付けましょうか。(いまクスっと笑ってくれた方、ありがとうございます。)飼育員さんたちにとって動物たちの健康管理は非常に重要な仕事の一つですが、多忙な飼育員さんたちがちょっと目を離しているうちに動物たちが異常行動をしていたり体調不良のサインを出していたりということもあるかもしれません。そこで動物たちにセンサデバイスを装着してメタバース空間のアニマルアバターに彼らの体調や行動を反映させてみたらどうでしょう。異常があった際に飼育員さんに通知が来たり、目を離していたどのタイミングで異常行動をとっていたのかが記録されていたりすれば、今まで以上に動物たちの健康管理に対して柔軟に対応することができるかもしれません。またこれらの記録は動物園の大きな役割の一つである「調査・研究」の貴重なデータになることも大いに期待できます。Idea 03_「表情から感情を解析し、ビジュアライズする技術」の動物園への展開乃村工藝社ではヒトの表情を解析し、その場の雰囲気や盛り上がりなどを可視化する装置「emograf(エモグラフ)」を用いて、空間内に滞在する人の感情を分析・予測・データ化する空間DXサービスを展開しています。この試みを動物のワークスペースに展開すると「動物たちのコンディションをよりよい状態に保つルートへ来園者を誘導する園内表示」を実現できるかもしれません。動物園の動物たちの中にはヒトに見られることでストレスを感じている動物たちがいることも明らかになっています。ここで動物たちの動きや表情、バイタルデータなどから感情を可視化し、「人が集まりすぎてストレスがかかっている」などといった情報をビジュアライズすることができたらどうでしょう。動物たちの感情が可視化された表示をみて、「ちょっと今は人が多すぎてライオンさんは緊張しているみたい、ライオンさんを見るのは後にしようね!」などと動物の感情考慮するルート決めを来園者自らできるような未来が実現できるかもしれません。ヒトと動物たちがこのような形で間接的にコミュニケーションをとって適切な距離感を保つことができる動物園が実現出来たらとっても素敵だと思いませんか?あなたも未来の動物園を妄想してみてはいかが?さて、いくつかの乃村工藝社の取り組みをピックアップして妄想を膨らませてみましたがいかがでしたでしょうか。ヒトのワークプレイスへの取り組みを一つの起点に未来の動物園を妄想してみるだけでも、なんだかワクワクしてきませんか?この記事があなたにとって新しい考え方や発想のきっかけになったなら嬉しいなと思います!ここまで読んでくださりありがとうございました。それではまたー!

コラム

もう一度見たい景色

たわいもない日常の美しさ父は毎晩、庭の池で飼っている錦鯉に餌を与えるのが日課だった。月明かりに照らされた水面から、赤、白、黒、金、銀の何十匹もの鯉が、父に挨拶をするかの様に顔を出す。30匹以上は飼っていただろうか。お酒を飲まなかった父にとっては癒しの時間であったに違いない。私はそれを縁側で眺めながら、「学校で今日は何があった」だの「今日の給食は美味しかった」だの、たわいもない話をする。そんな時間を過ごしながら、少し餌を貰って父と一緒に与えていた。人が集まる池は、我が家の象徴的な場所でもあった。週末には、鯉好き仲間が家に集まり、ああでもない、こうでもないとうんちくを語り合っており、とても賑やかだった。(実家の錦鯉たち。様々な種類の鯉がいた。)父は“昭和三色”と呼ばれる鯉を特に気に入っていた。背に大きく赤が広がり、頭から尻尾に向かうにつれ、大胆に黒が入る。鯉について詳しくない私でも、見事なバランスだと分かった。絵を描くことが好きだった私に、油絵でその鯉の絵を描いてほしいとオーダーした。(昭和三色のイメージ。紅白黒で構成され、頭から黒が美しく入るのが特徴。)ある日、父は亡くなった。父の鯉は小さな品評会でトロフィーを貰うレベルに達していた。沢山の鯉は業者に引き取られ、華やかな色彩で染められていた池は、一瞬で真っ黒になってしまった。それからというもの、鯉に触れる事はなくなった。あの時の鯉は、今頃どうしているだろうか?今でも鮮明に覚えている。あの昭和三色の柄、動き、餌をあげているときの躍動感をもう一度見ることが出来たなら…AIの技術の発展と共に、それが可能になる日も近いかもしれない。 故人の想いが生きる、デジタル水槽錦鯉の背景を知ることが出来るデジタルデータ錦鯉の3DCGを制作し、動きや色彩をAIに学習させる。この際に、ただAIで学ばせた錦鯉を作るのではなく、父の想いが入ったデジタルデータを作りたい。3DCGには、育成者、出生地等の様々なデータを入れ込む。建築で活用されているBIMソフトでは空間の素材や価格、メーカー名などの様々な情報を3Dデータ内に入れ込むことが出来るが、その錦鯉バージョンだ。そして、それらのデータはNFTとして活用する。(* NFT…デジタルアイテムの所有権を証明する証明書のようなもの)錦鯉を持ち運ぶ作成した錦鯉のデータは、アプリと連動させスマートフォン上で持ち歩くことが出来る。自分の鯉をいつでも、どこでも閲覧できるようにすることはもちろんなのだが、ここではCGデータと本物の鯉の情報が連動することに重きを置きたい。 日々の鯉の健康状態や与えたエサの量を記録し、鯉の育成に役立てる。池の管理も重要だ。池に投入した薬や水温、気温などの情報を記録し、池の環境面と鯉の健康面を同時に確認できる状態を作り出していく。錦鯉を鑑賞する場を作る鯉が住む池を模ったデジタル水槽を用意し、そこに近づきアプリをタップすると、鯉を水槽に放つことが出来るようにする。水槽のディスプレイはタッチパネルを採用。鯉にタッチすると、設定した育成者等の情報の閲覧や、気に入った鯉にいいね!を押せるといった、能動的に楽しめる体験を取り入れる。ゲームセンターの釣りゲームや、公園にある釣り堀のように、より気軽に、より身近に錦鯉を感じることができる環境を作りたい。交流はデジタルのみではなく、リアル空間も活かして錦鯉の鑑賞というと静かな環境をイメージするかと思うが、その場で自分の鯉の魅力をプレゼンテーションするイベントも行い、コミュニケーションを活性化させる。錦鯉はそれだけの情熱をかけられて育成されており、熱くて感動を与えることが出来る存在だからだ。NFTデータにしたのは、育成者の熱量や背景を含め、次世代に渡していくことが出来る可能性を持っているからである。アート作品は作者の背景や歴史なども語り継がれる。錦鯉も、育成者の背景と共に語り継がれて良いのではないか。父の想いがこもった錦鯉が泳ぐデジタル水槽を見ながら、時が止まってしまっていた油絵を完成させたい。そして、父の鯉仲間と共に、たわいもない話をしてみたい。私が作りたいのはデジタルデータではなく、池を囲んだ際の人との交流。 錦鯉の背景にある日常が、暮らしを色鮮やかに彩ってくれていたに違いない。

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3Dプリントの案内人となるために

初めまして、NOMLABの小山田です。企画展示や展望施設、映像コンテンツなど空間デザインの領域でテクノロジーによる表現づくりに取り組んでいます。(ご覧いただけるProjectとして、Geometric Timberや共鳴するメディア8Kなどを担当しています。ぜひ合わせてご覧ください。)今回はデジタルに関する情報を発信している社内オンラインサロン「NOMLABランチトーク」より、NFT回に続き第2弾としてお届けします。「空間を彩る3Dプリンティング」と題して、株式会社積彩CEOの大日方氏をお招きし、NOMLAB メンバーから私小山田、永野、渡辺の4名でトークセッションを行いました。本稿はトークセッションの内容を一部抜粋、要約したものです。10分程のショート版映像も附せてご覧ください。 スケールが拡大していく3Dプリント第61回ミラノサローネ国際家具見本市にて日本のHONOKAによる家具プロジェクト「TATAMI ReFAB PROJECT」が「12回サローネサテリテ・アワード」のグランプリを獲得し、3Dプリンターを使って成形された家具の提案が注目を浴びました。プロダクトから建築まで幅広いスケールに渡って、樹脂をはじめ、コンクリート、セラミックなど様々な素材の3Dプリントプロジェクトが国内外で登場しています。その中で3Dプリントと空間設計の可能性について、3Dプリントの専門家目線、空間設計のデザイナー目線から掘り下げました。空間づくりのプロセスにおいて3Dプリントが気軽に選ばれるように3Dプリンターは家庭用から業務用まで幅広く普及しはじめていますが、空間づくりを担う誰もが気軽に用いる技術とはまだ言えないかと思います。壁のクロスを選んだり、木工の家具をつくる様に、デザイナーが扱うマテリアル・手法の選択肢の一つとして3Dプリントが位置付けられるような環境を作り出したいと考えています。建築のスケールでは法規的な制約の中で人が居住可能な空間を丸ごと作り出す事例が出てきた一方で、プロダクトのスケールでは多様な素材を用いて視覚的な表現や質感のアップデートが活発になされています。私たちはこれらの間の領域となる“内装建材”に焦点をあて、セラミックス3Dプリントの技術知見を持つAGCセラミックスと、デジタルデザインに取り組んできた乃村工藝社との協業体制を活かして実験や実装を通して3Dプリントが可能にする空間づくりを模索しています。これからの肝は3Dプリントの案内人?データからダイレクトにモノを作り出す3Dプリントはデータとモノの翻訳機とも言え、従来のファブリケーションに比べてより複雑な形状を得意とします。昨今の生成AIツールの発展スピードに一種の怖さすら覚えますが、ビジュアルとしての2Dデータだけでなく3Dデータを生み出すツールがすぐに普及していくことは容易に想像できます。従来は壁の色や家具を選ぶに留まったユーザーが、壁の造形や家具そのものの3Dデータをデザインする、新たなマスカスタマイゼーションの普及において3Dプリントは重要な役割を担います。ユーザーがデザインした3Dデータを如何にモノに翻訳するのか、その案内人がより重要になるといえます。3Dプリントの課題を共有するより複雑な形状、新たな素材を用いる3Dプリントのスケールを拡大してくと法規的な制約に則る必要があります。プリントされたものは構造体として評価できるのか、新たな素材の防火性能は評価できるのか、これらの課題は事例をもとに議論を重ねるプロセスに時間を要しますが、国内の建築業界では建築基準法に準拠した3Dプリントの建築物の事例が出てきています。まずは大小様々な事例を増やし、如何にして制約を乗り越えたのかを共有することが空間設計における3Dプリントの可能性をより拡げることに繋がります。3Dプリントが可能にする未来の空間づくりに少しでも興味を抱いた方はぜひお声がけいただければと思います。

コラム

聴いて楽しむ売り場って、あり?

こんにちは。NOMLABの村上萌です。これまで大阪・東京・上海など、色んな拠点で仕事をしてきました。特に、企業ブランドを発信する施設やコンテンツを企画・制作することが多いです。そんな私は、各地のスーパーマーケットに行くことが好きです。日常使いとしてももちろん行きますが、出先に目当てのスーパーがあれば立ち寄りますし、旅先でもできるだけ地元の人が利用されているスーパーを探して行くようにしています。みなさんも普段からスーパーに行くという方は多いと思いますが、どういうところを見ておられますか?個人的な見どころは、入口に置いている目玉商品や、鮮度の高さ、妙に品揃えがいいジャンル、地物を扱っているかどうか、などなど見るポイントは山ほどあります。ゆうに1時間は越えてしまいます。例えば上海在住時によく行っていた八百屋「Avocado Lady」。現地在住歴が長い友人に良い食材が買える場所を聞いた時に教えてもらいました。中国の八百屋さんなのに英字の店名の理由は、欧米系の食材を豊富に取り扱っているからなのです。色とりどりのトマトやハーブ類はもちろん、フレッシュチーズも様々!アーティチョークなど珍しいものまで品揃えの面白さはもちろんなのですが、その上鮮度がよく、ツヤツヤしたもので埋め尽くされた店内は、単純にワクワクするのです。欧米人を中心に中国人の方もいらっしゃり、いつも混んでいるところを見ても信用できます。 ※上記の写真は2018年ごろのものです。現在は撮影禁止とのこと。こちらのサイトだとお店の正面写真が掲載されています!・リンク先のウェブサイトは、乃村工藝社のウェブサイトではなく、当社の管理下にはないものです。 ・この告知で掲載しているウェブサイトのアドレスは、当ページ作成時点のものです。ウェブサイトのアドレスは廃止や変更されることがあります。最新のアドレスについては、ご自身でご確認ください。 ・リンク先のウェブサイトについては、リンク先の組織・団体等にご確認ください。上海もかなり発展しており、都心型スーパーが多くローカルな八百屋は減っていっている中で、このような活気がある店は見ているだけでも楽しめます。こんなに見どころがあるスーパー。何なら立派なデートスポットになるんじゃないか、と本気で思っています。(もうしてる人いますか?)特に最近は個性的なスーパー(商店レベルの小さいものも)が増えていると感じますが、中でも興味深い品揃えの売り場を見ると、興味深いけど買うのにひと推し足りない、と感じることがあります。「なぜこの商品を選んだのだろう?他の商品にはない魅力があるのかな?」「たくさんの商品の種類の違いは何だろう?」そんな時、ふいに語り掛ける声が聞こえてきて、情報を教えてくれる、なんてサービスがあると、見ながら自然に入ってくるような気がします。一説によると、視覚情報より聴覚情報の方がネガティブに捉えられにくい、なんてこともあるそうです。「〇〇牛乳は、長野県の空気が澄み切った高原の広大な牧場でのびのびと放牧された牛たちのミルクです。」「〇〇納豆は、埼玉で100年以上納豆をつくっています。付属のタレはやや甘めで、小粒の豆とよく合いますよ。」商品だけでなく、商品の他とは違う特徴や生産者の方の思いも乗って伝わると、買い物も更に楽しめそうだなあ・・・という妄想でした。スーパーに関することも、買い物体験に関することも、ご興味わいた方はご一報くださいね!

コラム

野菜づくりのスーパーコンシェルジュ

こんにちは、ジュリアです。毎日3歳児、猫2匹とたくさんの植物に囲まれながら、仕事と育児に奮闘しています。今日はそんな奮闘の日々から着想を得たアイディアを、1つご紹介したいと思います。ゼロから野菜づくりにチャレンジ私が生まれ育った場所は中国南部にある、広西チワン族自治区の小さな町です。仕事や家庭の関係で、実家からどんどん離れていきました。遠く離れれば離れるほど、子どもの時に食べ慣れていた野菜やお母さんの料理が恋しくて・・・。いま日本で暮らしている私は、いつか実家の野菜を作って、その野菜を使って母の料理を再現しようと思っていました。今年たまたま区民農園に当選したきっかけで、野菜作りをゼロからチャレンジすることになりました。母の味を再現!でもハプニングが尽きない…野菜作り初心者のため、最初の土づくりと種まきに苦労する日々。毎週末欠かさず畑のお世話、共働き家庭もあり、週末はほとんど休めていない気さえ・・・。一方で、野菜たちがぐんと成長している様子を見て、心が満たされている自分もいました。そんな試行錯誤の末、ついに野菜の収穫に成功!来日して10年、自分で作った野菜を使って、母の味を再現することができました!↑母のレシピの再現:ズッキーニの花と茎が入ったスペアリブスープ(左)と白瓜の漬物(右)野菜づくりの楽しさを満喫している同時に、予想外のシビアなハプニングもたくさん起こりました!!6月中旬から猛暑が相次ぎ、野菜たちがぐったりになるし、週末に「よっしゃー!」と気合を入れて畑に行こうとしても、小さな子どもの体調が不安定のため、なかなかスケジュール通りに進められません。また、週一のお世話だけでは、野菜の病気にすぐ気づくことができず、気づいたらズッキーニが密集状態に。それが原因で病気が発生し株のほとんどが枯れてしまったり、病原菌が付いた葉っぱを即座に処分できず周りの白瓜にも移してしまったりと、病気の連鎖が止まりませんでした(涙)。野菜づくりをまるっとコンシェルジュこんな苦い経験をふまえて、初心者でも共働き家庭でも、誰でも気軽に野菜づくりを楽しめるサービスがあったらなと妄想をしました。準備段階から消費段階までを、「オンライン」と「リアル」でまるっとサポートする、ワンストップのスーパーアプリです。例えば、1、野菜をつくりたくなったとき【オンライン】・利用者は最寄り駅、家族構成、畑に費やせる時間などを入力。・アプリが利用者のライフスタイルに合わせて、無理なく楽しめる畑の大きさや、近隣の貸し農園・シェアファームなどを推薦してくれる。【リアル】・農園と連携し、定期的に利用者や興味のある方向けの体験会やマルシェを開催する。2、野菜づくりを始める前に【オンライン】・農園の区画にカメラを合わせると、カメラが空間を認識。農園を最大限に活用できるレイアウトから、作業しやすいレイアウトまでを提案してくれる。・利用者の健康診断結果や家族の好みと連動し、不調を改善できる野菜を推薦してくれる。・おすすめの野菜種がオンライン購入できる。自宅もしくは貸し農園まで届く。・畝づくりから野菜作りまで各段階の作業イメージを映像で公開する。【リアル】・農園で畝づくりから野菜作りまでのレッスンを開催できる。・必要な作業道具など無料で貸し出しできる。3、野菜をつくるとき【オンライン】・自宅でもいつでも野菜の様子を確認できる。・野菜の写真をアップすると、成長の様子に合わせて間引きや追肥、授粉のタイミングを教えてくれる。【リアル】・AIを駆使し、リアルタイムの温度・湿度に合わせて、乾燥エリアを給水したり、野菜の病気を検知して、薬の自動散布を行ってくれる。4、収穫のとき【オンライン】・野菜の写真をアップしたら、収穫のタイミングを提示してくれる。・種類によって、種取りの時期と方法を教えてくれる。【リアル】・各家族が食べきれない野菜マルシェを農園で定期開催。地産地消を促進する。5、料理をつくるとき【オンライン】・母が遺したレシピやオリジナルレシピを記録・保存できる。・コミュニティ内でレシピをシェアできる。【リアル】・農園で採れた野菜を使ったグルメ会が開催できる・野菜作りの地域コミュニティを活性化させるこのようなサービスがあったら、野菜づくりがますます身近になるなと思った次第です。野菜づくりには農園というリアルな場が欠かせないですが、その過程をテクノロジーでまるっとサポートできれば、より気軽に楽しめられるではないでしょうか?野菜づくりをサポートすることを起点に、作った野菜を自分の家族で食べたり、食べきれない分をそこで暮らす地域の人たちで消費したりすることで、生活が豊かになり、環境にも優しくなります。そんな人にも社会にも優しい野菜づくりができたらいいですね。

コラム

1日は8760時間になっている!?

こんにちは。NOMLABの吉武です。最近観た映画をきっかけに、「時間」と「空間」という観点から、idea seedsの場を借りて少し考察とアイデア出しができればと思います。映画「OLD」先日、友人におすすめされて、「OLD」という映画を観る機会がありました。「シックス・センス」でも有名なM・ナイト・シャマラン監督の作品です。面白い視点で楽しめる映画なのでご興味があればぜひご覧ください。映画の内容のネタバレを少しだけ含みますので、もし内容を知りたくない方は下記の※印まで読み飛ばしてください。映画「OLD」は、とある島の一部の地域で異常なスピードで時間が流れるという現象に巻き込まれた一家の姿を描いた、ちょっぴり恐怖感のある映画です。この映画の中では30分という時間が1年分に相当します。すなわち24時間その場所にいると48年の歳月が経ってしまうということになります。私はこの映画を見た際に、本映画内の時間経過の考え方は、実は現代を揶揄しているのではないかと感じました。※ここからは映画の内容とは無関係です。江戸時代と現代「私たちが1日に受け取る情報量は江戸時代の1年分」という話を聞いたことがあるでしょうか。時代の変化と共に私たちが受け取る情報量は増え続け、今では江戸時代の365倍もの情報量を私たちは浴び続けていると言われています。つまり江戸時代を基準に、情報量という観点から考えると、私たちの1日の時間は24時間×365=8760時間になっているという考え方もできるのです。「1日が48時間だったらいいのに…」なんて思ったことがある方もいるかもしれませんが、実際はそんなことはとっくに達成しているのかもしれません。そして近い将来、「私たちが1日に受け取る情報量は令和時代の1年分」と言われる時代が来ていることでしょう。脳みそパンクするわ!と思った方、実はそんなことはないのかもしれません。なぜなら人間は常に道具を生み出せる生物だからです。そうAIですよね。 昨今ChatGPTを皮切りに生成系AIなど様々なAI領域の技術革新が進んでいます。江戸時代以降、鉄道・飛行機が当たり前に使えるようになり、人間の移動時間が短縮されたことで1日の時間が伸びていきました。同様に、江戸時代に比べて365倍の情報量を浴び続ける現代以降も、人間はAIを当たり前に使えるようになり、思考時間が短縮されることで、まだまだ人間の1日は伸びていくことでしょう。正確には、時間が伸びているというよりも、生活に存在している、ありとあらゆる無駄が究極的に省かれていくということなのだと思います。目の前に存在する無駄を省き、新たな価値を生み出すというのは人間の性なのでしょう。現代における「無駄」とは?さあ、そんなちょっとだけ息苦しい時代、これだけ情報があふれている時代に、省かれていく無駄とは何なのでしょうか。私は「大衆的な情報」なのではないかと思っています。テレビのように一般大衆に対して画一的な情報を一様に届けるスタイルはむしろニッチとなり、個人に対して、過去の行動データをもとに、よりニッチに、よりパーソナライズされた情報を届けることがメジャーになってきているのではないでしょうか。TikTokやNetflixなどAIを積み込んだ多くのツールやサービスが先行して実装しはじめており、当人にとって最適なタイミングで最適な情報が提供され、興味が興味を呼び、無駄なく新たな学びを得ていく時代が到来しています。今後、情報は益々ニッチになり、興味を持っている人同士が繋がり合い、分散型コミュニティが乱立していくのだと思っています。空間という媒体におけるパーソナライズとはでは、そんな時代の「空間」とは、どんな姿なのでしょうか。パーソナライズについて、つらつらと語ってきましたが、空間は本来パーソナライズが難しい、明らかに大衆性が強い媒体です。その場にいるすべての人に同じ体験・情報を届け、コミュニケーションを生み、価値を提供します。茶室の緊張感、ライブの一体感、自然の解放感、そもそも空間という媒体自体、価値を提供する対象が多人数であり、スマートフォンのように個人ではありません。そのため、一見、提供価値をパーソナライズすることが難しいように見えます。ですが、本当にそうでしょうか。その空間に来ている人の年齢は?性別は?来ている時期は?来場時は朝?昼?夜?一緒に来ている人との関係は?この空間に来ることを決めた要因は?この空間に求めていることは?あらかじめ来場者の情報が分かっていれば、当人にとって最高のタイミングで最高の体験価値を届けられるのではないでしょうか。例えば、とあるミュージアムで日本の近代史を伝えるエリアを作るとしましょう。昭和生まれの方と令和生まれの方では高度経済成長に対する理解度や捉え方は異なっており、興味を持つ情報は異なりますよね。そうすると情報を伝えてあげる順序や届けてあげるべき情報はそれぞれ異なるはずです。もしシアターを用意するなら、あらかじめ映像を3本用意しておいて、来場者属性に応じて映像の内容を変化させてあげた方が伝えたいことが伝わるかもしれません。さらにもしかすると、近い将来、映像を生成するAIというものが誕生すれば、属性分析に応じて、無限通りのシアター映像が生まれるかもしれません。AI時代の空間の未来を楽しみにテクノロジーがまだうまく入り切れていない空間という領域だからこそ、実はまだまだ省ける無駄は存在している可能性があります。無駄という表現はあまり良くないですが、ここでいう「無駄」を省くことは、すなわち空間での体験の純度をあげていくことになります。このAI全盛期の現代だからこそ、来場に至るまでのタッチポイントや空間内のコンテンツ、提供するタイミングを来場者ごとにコントロールができるようになってきており、そんな新しい時代が来ようとしているのではないでしょうか。空間のパーソナライズに必要な情報を包括的に集めて、情報や体験を提供していくことはまだまだ難しいかもしれませんが、そんなことができるようになれば、より一層空間の価値は向上し、皆様にとってより良い時間を提供できるかもしれません。1日が8760時間の現代で、無駄なく最高の「空間」で最高の「時間」が過ごせる日を妄想しながら、そんな時代の到来を密かに楽しみにしています。そしてそんな新しい時代の一端を担っていけると面白いなと考えています。

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「場」と「サービス」で出会いをつくる

こんにちは。NOMLABの金原です。一昨年の春、私は一匹の犬を家族に迎えました。それからというもの、出不精だった私が毎日朝夕に散歩し、週末にはかかさずドッグランへ。ドッグイベントや同犬種のオフ会にも参加しています。そうした生活の中で、愛犬をきっかけに自分のコミュニティがどんどん広がっているのを感じています。犬連れの方を見かければ、初対面であっても「かわいいですね!何歳ですか?お名前は?」なんて話しかけるし、ご近所さんに会ってお話がしたくて散歩の時間を見計らったりします。犬を飼う前の私は、見ず知らずの方に突然話かけるなんてことはしませんし、会話のきっかけもなかったと思います。ですが、愛犬という共通項によって私の中の人見知りの壁は消え去り、お話したい、仲良くなりたい、情報交換したい。というコミュニケーション欲があふれてきたのです。今では二回り年の離れたご近所さんと週末にイベントに出かけたり、ドッグランで知り合ったご夫婦と食事をし、映画やファッションの話題で盛り上がる仲になりました。愛犬という共通の趣味嗜好をきっかけにさらにその人自身を知り、自分が元来持っていた趣味嗜好の範囲外まで興味の分野が広がっているのを感じています。コミュニケーションが生まれる場とは?私にはお気に入りのドッグランがあります。犬たちものびのびと遊べて、飼い主同士のコミュニケーションも活発に行われ、とても居心地が良いのです。東京、千葉、神奈川や旅行先で様々なドッグランに行きましたが、コミュニケーションが活発に生まれる所と、そうでない所があることに気が付きました。それはなぜか?ドッグランという場を乃村工藝社らしく空間づくりの視点で考察してみたいと思います。まず、コミュニケーションが生まれにくいAのドッグラン(自宅から車で10分)  ・    背の高いネットフェンスや樹木により、日当たりが悪く芝の生育もまばら・    入口が狭く奥まっているため、見通しが悪い・    ネットフェンスにより他のエリアが見渡せない・    数少ないベンチが固まって配置されており、利用しづらい次に、コミュニケーションが生まれやすいBのドッグラン(自宅から車で30分)・    日当たりが良く、芝がきれいに整備されている・    入口が中央にあり、見通しが良い・    メッシュフェンスの背が低く、他エリアや外部も見渡せる・    ベンチが点在して配置され、藤棚や樹木で木陰をつくっている改めて比較してみると、色々な違いが見つかりました。Bのドッグランでは、日当たりや見通しの良さなど場の構成が快適性と安心感を生み出し、点在するベンチや気持ちの良い木陰はその場での過ごし方を提供し、居心地の良さをつくっています。「場」と「サービス」の設計が自然とその場にいる人同士のコミュニケーションを活発にしているのではないでしょうか。多少遠くてもそこに行きたいと思える価値があるのです。ドッグランという場は、地面と囲いがあれば成立しますし、空間設計としての要素は非常に少ないものです。しかし、その場をいかに居心地の良いものにするかによって、その場にいる人々の行動や感情に大きく影響するものだと考えます。ドッグランで愛犬家同士の出会いをつくるアイデア飼い主がお茶を楽しみながら犬を見守れるカフェスペースがあったり、遊ばなくなったおもちゃ等を交換できるフリーマーケットのような場があると、さらに人同士のコミュニケーションを生み出すことが出来そうです。また、愛犬家には自分の愛犬が楽しめているか。も重要な要素です。そこで、わんちゃん専用のウェアラブルデバイスを考えてみました。■アプリと連動したワンちゃん専用ウェアラブルデバイス①アプリからプロフィールを登録し、デバイスを首輪やハーネスに付ける。②デバイスを付けたわんちゃん同士が触れ合うと回数や時間、その時の興奮度などを計測し、仲良し度がわかる!③触れ合った犬の情報が記録され、飼い主はアプリからプロフィールを閲覧したりメッセージを送ることが出来る。愛犬と相性の良い子が見つかると飼い主も安心して遊ばせられるし、ドッグイベントやランへ誘うきっかけをつくります。このような「場」と「サービス」で会話のきっかけをサポートできれば、より多くの出会いを生み出すことが出来るのではないでしょうか。 

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