未来創造研究所/Future Insights Lab.のロゴ
乃村工藝社のロゴ

Topics

トピックス

イベント

シリーズイベント「人と空間のちょっと未来」 第2回『多拠点生活と渡り鳥のくらし―ヒトの住まい方と、ツバメの棲み方』開催!

少子高齢化や働き方の自由化、そしてテクノロジーの進化など社会や暮らしが大きく変化し続けているいま、「人」と「空間」の関係性も見つめ直すべき時期に来ています。自分たちを起点に、さまざまなアイデアのタネづくりを目指し活動をつづける未来研究所は、そうした変化の先にある新たな関係性を多角的に探るべく、シリーズイベント『人と空間のちょっと未来』をスタートさせました。2025年8月に第1回として開催され、大好評を博した前回のテーマは『宇宙居住と菌』。地球におけるこれからの暮らしや、人と空間の関係についてゲストと共に探りました。▷第1回の模様はこちらそして2回目となる今回は、『多拠点生活と渡り鳥のくらし ―ヒトの住まい方と、ツバメの棲み方』がテーマ。多拠点生活をはじめライフスタイルや価値観が多様化するいま、渡り鳥の暮らしや棲まい方にヒントを得ながら、これからの私たちの“居場所の在り方”を探る企画です。これまで「居住」と言えば、終の棲家という言葉に象徴されるように固定的な視点で考えられてきました。しかし、自然界に目を向けると、野生動物たちは季節や環境の変化に合わせて柔軟に居場所を変えるという、フレキシブルな生き方・暮らし方を実現しているのです。価値観もライフスタイルも変化しつつある今だからこそ、これからの私たちの居場所の在り方を見つめたいと考えました。今回は地方移住や二拠点居住等の支援を手がける吉冨諒さんと、ツバメなど渡り鳥の研究を行う北村亘さんをゲストに迎え、プレゼンテーションやクロストークを通して「人と空間のちょっと未来」を考察します。多拠点生活のハードルが下がり、どんどん身近なものになっている『多拠点生活と渡り鳥のくらし ―ヒトの住まい方と、ツバメの棲み方』がテーマの今回、それぞれ異なるジャンルのエキスパートである2名の専門家に登壇いただきました。一人は、公益社団法人 ふるさと回帰・移住交流推進機構 ふるさと回帰支援センター プロジェクトマネージャーの吉冨諒さん。地域での暮らしや多拠点生活の専門家です。そしてもう一方は、東京都市大学 環境学部 環境創生学科 准教授の北村亘さん。ツバメの浮気研究やコアジサシの繁殖行動、渡り等の研究を手掛けておられます。未来創造研究所の鈴木和博と土金慧子がモデレーターを務め、たくさんのオーディエンスで賑わうなか、多彩なトークを繰り広げました。イベントの前半は、ゲストのお二人がそれぞれの視点からのプレゼンテーションを展開。最初のプレゼンターは吉冨さんです。「ふるさと回帰・移住交流推進機構 ふるさと回帰支援センターに寄せられる移住相談に、興味深い変化が見られるんです。2008年当時は50代以上の高い年齢層からの相談が7割以上を占めていましたが、近年はそれが逆転し、40代以下が約7割を占めるようになりました。つまり、若い世代が移住を考えているようになっているんですね」吉冨さんはこういった「二地域居住」にまつわる現在のトレンドからスタートし、続いて話題はニーズの変化へ。「テレワークが定着して働き方も多様化し、選択肢の幅が大きく広がっています。以前は『いつか良い場所があれば…』といったペースでのご相談も多かったのですが、最近は『一年以内をメドに考えている』や『子どもの成長に合わせたタイミングで自然豊かな環境に移りたい』といった、比較的近い未来で具体的にお考えの方が増えています」。こうしたトレンドに対し、第二の住民票とも言われる「ふるさと住民登録制度」や子どもが学区をまたいで就学を継続できる「区域外就学」といった国や自治体側の対応、また都市と地方の両方の良さを教育活動に取り入れることができる「デュアルスクール」などのサービスを紹介。二地域居住や多拠点生活の制約や課題に対するハードルが下がったことで身近になり、実際にそういった暮らしをスタートさせる人が増えているとのお話でした。ツバメは多拠点生活のスペシャリストつづいて、ツバメの研究を手がける北村さんのプレゼンテーション。「考えたこともなかったのですが、今回のテーマを与えられて気づきました。ツバメって、多拠点生活のスペシャリストなんだと」そう話し会場を笑いで包むと、「ツバメの研究というとほのぼのした印象かも知れませんが、実は兄弟の仲が悪かったり浮気が多かったり、知れば知るほど面白いんです」と、ツバメをはじめとした渡り鳥の生態や特色について紹介いただきました。衣・食・住をキーワードにしたツバメの紹介は特にユニーク。「ツバメはメスがオスを選び、モテるモテないがすごくあるんです。見栄えの良いオス、つまり“衣”が魅力的なオスがとにかく選ばれます。“食”は命の基本。日本に生息するツバメは豊富なエサを求めて夏期は国内で過ごし、秋頃からは東南アジア地域に渡ることが分かっています。そして“住”は、巣や棲む地域のこと。ツバメは自分が生まれた地域に棲みますが、まったく同じ場所に棲むことはありません。渡った先から日本に戻ると最初は他のツバメが残した古い巣を活用して1回目の繁殖をします。その後に巣を新築して、2回目の繁殖を行うんです」参加者は興味深く北村さんの話に聞き入りました。そして後半はクロストークに。吉冨さんが「日本に戻ったツバメは、誰かが残した古い巣に入るとは知りませんでした」と驚きを見せると、北村さんは「一刻も早く安全に子育てをするためです。古い巣があるということはエサの状況も安全面も良い可能性が高いということなんです」と回答。吉冨さんは「人の移住のヒントになりますね」と納得の表情でした。一方の北村さんは、「多拠点生活に興味はあるけれど、場所の選定や移動のコスト、さらには仕事のことなど障壁がありすぎて、具体的なイメージがまったくつかないんです」と相談。吉冨さんは自身の経験や最近の事例などを交えながら、「いきなりこの場所と言うのではなく、その場所に実際に触れたり、居住者と交流を持ったり、少しずつ輪の中に入っていって選ぶことが望ましいですね」とアドバイスを贈りました。モデレーターの鈴木は温暖化の影響で渡りをやめた“越冬ツバメ”の事例に触れ、北村さんは「人もツバメも同じく変化の中にありますね」と応じました。また土金が「ツバメは子育てが終わると一家が解散して、それぞれが好きな場所に渡っていくことを知りその自由さは羨ましくなりました。人は基本的に家族という単位で暮らしますが、その家族観に変化の予兆はありますか?」と問うと、吉冨さんは「各々が求めることを大切にしながら別の拠点で暮らすケースも実際に聞くので、我々が思っている以上に多様かもしれません」とのことでした。このように多拠点生活とツバメの暮らし、2つの視点を交差させながら、さまざまな話が広がりました。今回、ツバメを“多拠点生活のスペシャリスト”と捉えて深掘りしてみることで、意外なライフスタイルや家族観が見えてきました。また集うことで生じる共有意識や行動変容を捉えなおすことの重要性も改めて感じました。人の暮らし方や働き方、子育てなどのニーズが変わりつつある今、わたしたちプランナーやデザイナーが企画・デザインする新しい「居場所」に向けたヒントがいくつも垣間見えました。ツバメがこの季節に渡る東南アジアの味を楽しむ、美味しい交流会!クロストーク終了後は、食や飲み物を楽しみながらの交流タイムへ。この日のテーマの「ツバメ」が、本イベントが開催された9月頃より東南アジアへと渡ってゆくことにちなんで、東南アジアの料理や飲み物をご用意しました。飲食を堪能しながら、ご参加いただいた幅広いバックグラウンドをお持ちの方々との会話が弾みました。またサプライズとして、北村さんからツバメの浮気研究についての特別講義も実現。会場からは質問が相次ぎ、最後まで熱気あふれる時間となりました。ありがとうございました!参加者の声二地域居住とツバメの話がどうリンクするのか?と思いましたが、思わぬところでの関係性があり、とても興味深く聞かせていただきました。活発な質疑応答の雰囲気もさすがだなと、思いました近年人気が高まっている多拠点生活についての調査結果などがグラフで示されており、具体的なデータを見ることができて大変興味深く感じました。また、ツバメの浮気のお話も非常に面白く、質疑回答も含め、もっと聞いていたいと思うほどでした人とツバメの棲み方を比較しながら未来を考えるというテーマ設定に、creative Lab.らしさを感じ、非常に面白かった。時間があっという間に終わってしまった次回の「人と空間のちょっと未来」もお楽しみに! 

イベント

シリーズイベント「人と空間のちょっと未来」第1回『宇宙居住と菌ー 宇宙で人間らしく、心地よく暮らすためには?』開催!

未来創造研究所は 、アイデアのタネづくりをしていくことを目指すべく、「空間」を取り巻く社会や生活者の変化を先読みし、未来の兆しを捉える幅広い視座でのリサーチと提言活動を行っています。今回新たにスタートさせたのが、シリーズイベント『人と空間のちょっと未来』。決して遠くない、そしてまだ揺れ動くであろう「ちょっと未来」。少子高齢化や働き方の自由化、テクノロジーの進化など社会や暮らしが大きく変化し続けているいま、「人」と「空間」の関係性も見つめ直すべき時期に来ています。そうした変化の先にある新たな関係性を多角的に探る企画です。その第1回目が、オープンイノベーションを生みだす研究拠点“Creative Lab.”を舞台に2025年8月7日(木)に開催されました。初回のテーマは『宇宙居住と菌』。わたしたちが普通に宇宙という極限の世界に居住するようになる時代。そこで人間らしく暮らすことを考えるために、空間デザインで考えるべき要素はどんなことがあるのか?そんな思いからこのテーマを選びました。宇宙進出を、地球人が一体であることを明確化する良い機会にする今回のテーマにまつわるお話をしてくださる2名の専門家に登壇をお願いしました。一人は宇宙での人工重力の研究を手がける鹿島建設イノベーション推進室担当部長(宇宙)/京都大学SIC特任准教授の大塚琢也さん。そしてもう一名は、2025年大阪・関西万博パソナ館の建築デザインを担当し、書籍『菌の器』の著作者として菌・微生物への造詣も深い建築家の板坂諭さん。未来創造研究所の山口茜をモデレーターに、たくさんのオーディエンスで賑わうなか、独特の見地からの多彩なトークが繰り広げられました。前半は専門家のお二人が、これまで手がけてきたことや取り組みなどについてのプレゼンテーション。最初のプレゼンターは大野琢也さんです。鹿島建設で宇宙担当を務めている大野さんは、抱えている危機感や現在の取り組みについてこのように話しました。「人類は地球が46億年かけてつくってきた資源を、200年ほどの短い期間で使い果たそうとしています。しかも使い果たすだけでなく、未来の社会や子孫に大きな負債を残そうとしているほどです。地球環境からさらには宇宙も見据えて、人類活動を再考しなくてはならないと思っています」幼少期から興味を持っていたことや、ご自身が手がけたスプレーアートや模型、仕事の実績などをユーモアを交えてたっぷりご紹介いただき、宇宙居住や建築を志したきっかけについても語ってくださいました。「ミース・ファン・デル・ローエが100年ほど前にスケッチしたガラス張り高層建築や、へリット・リートフェルトが同じく100年ほど前に手がけたレンガ、鉄、ガラス、コンクリートを融合させた住宅に触れて、“未来を予測して導く建築とは、なんてすごいんだ!”と感じて建築を志しました」そうして、大野さんも建築への好奇心が高じて宇宙建築を描くように。「人類の分断を避けたいとずっと思ってきたのですが、現在はその分水嶺にあります。宇宙進出は、地球人のアイデンティティ1Gを共有することで人類は一体であることを明確化する機会になるので、そういった部分でも宇宙への居住には強い気持ちを持っています」そんな想いを抱きながら重ねてきた、数多くの研究や作品について紹介され、大野さんが熱く語る人工重力説を基にした宇宙居住空間『ルナグラス』や『マーズグラス』の構想や仕組みに、参加者の皆さんも興味津々で聞き入りました。宇宙居住を考える時に菌などの環境工学は不可欠な存在につづいてのプレゼンターは、建築家の板坂諭さん。建築設計事務所/デザイン事務所のthe design laboを主宰し建築やプロダクトを手がけるだけでなく、菌や微生物に関する研究家でもあります。宇宙と居住を考えた時に、“菌”も非常に重要と話されました。「日本人はあらゆるところに八百万の神を感じる文化を持ち、自然やものにも畏敬の念を持って暮らしてきました。日本は世界的に見てもかなり早くから、麹菌をはじめとした菌を暮らしに取り入れています。その文化には、菌や微生物という存在を明確に意識していたことがあると思っているんです」「人体は自身を構成する細胞の数よりも多くの菌で構成されています。人や動物は菌によって思考や行動をコントロールされているという話もあるほどです。人は生物のピラミッドの頂点に居るかと思いきや、菌の器でしかないのですね」「たとえば除菌をするとその瞬間はキレイになりますが、悪い菌が付着すればその環境は悪い菌にとって天国になります。つまりは菌のバランスを保つことが重要で、そこが崩れると健康を害することになりかねません」そんな、菌に関する興味深い話を進めながら、宇宙居住と菌についても見解を話して下さいました。「宇宙での居住空間を考慮しますと、耐性やメンテナンスの面でケミカルな建材や素材が使われがちです。でも、人の体への影響を考えると菌や微生物にフレンドリーな素材を取り入れる必要があります。そうしないと人の免疫力が弱まる可能性があり、思いも寄らない感染症の発生に繋がりかねません。宇宙居住に、菌の視点を取り入れた環境工学は不可欠なんです」板坂さんの取り組みや考えが紹介され、山口 からの問題提起も加わり、自由なトークセッションへ。大野さんの「菌は目に見えないですが、板坂さんは日常のなかで菌を感じることはあるのですか?」という質問に、板坂さんは「オフィスで植物をたくさん育てていて、水やりが毎朝の日課です。都心部ながらもそこにトンボやチョウといった虫が飛んでくるんですね。そうするとそこには微生物が存在していて、生態がつながっていることが理解できます」と回答。また山口からは、「このラボには、天然木の床や植物がたくさんあり、こうした環境が菌を豊かにしている。菌が元気でいられることが、空間の”居心地の良さ”を創り出していたのかもしれません。このように、 空間デザインにおいて、菌の視点を空間の居心地の良さの指標として用いることもできるのではないか。」というも意見も。板坂さんからは、「高層階では菌が存在しにくく、健康にも影響があると言われている」という話や、大野さんからは、「微生物が豊富に存在する土や生命そのものは、人間が生みだすことはできません。八百万の神と菌という日本の価値観や文化を、改めてこの日本から発信していくべきです」と話すなど、宇宙と菌、微生物がつくる環世界が、宇宙(低重力)での空間デザインや、素材、暮らし方を考えていく、さまざまなヒントとなる議論が行われました。『宇宙居住と菌』にちなんだ飲食を味わいながら参加者と交流トークセッション終了後は、食や飲み物を楽しみながらの交流タイムを開催。この日のテーマ『宇宙居住と菌』にちなんで、発酵食品を中心としたケータリングや、未来創造研究所の地域デザインチームがつくった日本酒の試飲も行われました。また「納豆菌は宇宙から来たという説もある。±100℃でも耐え抜く強い菌」と語る板坂さんの、オススメわら納豆もふるまわれました。飲食を堪能しながら、集った幅広い職種の参加者との会話も弾みました。参加者の声 菌視点、宇宙視点がなかったので大変面白かったです。木に関わる仕事をしているのでいろんな可能性があるなと感じるきっかけになりました菌と宇宙建築ということで、普段関わらないような、「かけ算」のトークが面白かったです! 菌についてとても興味が湧きました日頃ではあまり考えることの無い視点からお話を聞くことができて、これからの考え方に大きな影響をもらえそうなイベントとなりました数分きくつもりで立ち寄ったら、「へぇ~!!」の連続で話が興味深くて最後までひきこまれました。トークされていたように「菌目線」がこれからの未来の新常識になりそうです宇宙×菌with空間という切り口がとても興味深かったです。少し未来のはなしをするには、斬新な切り口が必要だと思いました宇宙のキーワードをきっかけで参加したが、菌の話や懇親会での他の参加者との交流にも大いに刺激を受けましたこれからも魅力的な登壇者のご協力や、興味深いテーマを設定しながら、「人と空間のちょっと未来」をつづけて行きますので、ご期待下さい!

イベント

代官山 爽涼祭 2025

東京の中でも歴史とモダンが静かに共存している代官山エリア。最新のトレンドが発信されるエリアでありながら、その土台には長年育まれてきた落ち着いた街の風情と文化が息づいています。そんな代官山で2022年から始まった「爽涼祭」は、地域商店と住民が共につくる夏の風物詩として愛されています。2025年の爽涼祭は、「代官山 爽涼祭 WEEK」として9/20(土)~9/28(日)と期間が拡張して開催されます。TSUNAGU(つなぐ)をテーマに、代官山TーSITE、フォレストゲート代官山、ログロード代官山、ヒルサイドテラスなどでは縁日、小さな花火大会、トークショーなど、さまざまな催しが行われます。われわれ乃村工藝社 未来創造研究所はこの取り組みに賛同するとともに、日頃の研究を社会実装する機会としてこのプロジェクトに参画、 共創パートナーとして一緒に爽涼祭を盛り上げていきます。植物発電によるイルミネーション*1や、音を探して散歩するスタンプラリー、廃棄物から作られたスピーカーの設置、幼児がお昼寝できるソファの設置、飯能の森で作られた木材循環ベンチ、そして縁日から排出されるCO2排出量の測定やリサイクルステーションの設置*2など、たのしくて、ちょっとすてきが詰まったコンテンツをお届けします。好きな人たちに囲まれて、きらきらまぶしい子どもたちの笑顔と、なつの終わりをたのしむ、9日間。まわりのみんなとつくり上げる、ちょっとだけ涼しい、代官山の爽涼祭。【開催概要】代官山爽涼祭20252025年9月20日(土)-9月28日(日)HP:https://store.tsite.jp/daikanyama/souryousai/?srsltid=AfmBOooAZjNeYWBFTHWiBFZzJPXyNuqL-Qe4sNMspAR4NJhQPZkBskQFInstagram: https://www.instagram.com/daikanyama_soryosai/【展示概要】*1 株式会社グリーンディスプレイとの共創*2 株式会社ジャパングレーラインとの共創 【関連記事】material record:https://rd.nomurakougei.co.jp/project/sustainable/page/material-record植物発電:https://rd.nomurakougei.co.jp/project/technology/page/phenomenonSOUND SEEK powered by oto rea:https://rd.nomurakougei.co.jp/project/technology/page/oto-rea

イベント

ジェネラティブデザインと製造技術、職人技によるセラミック3DプリントをOSAKA FUORI SALONE 2025にて展示

乃村工藝社の未来創造研究所NOMLABとローランド ディー.ジー.による、3Dセラミックプリントの内装建材への開発を目的とした共同プロジェクトは、立体的なタイルデザインの自動生成を目指す。本プロジェクトでは、プログラムを介したデザインデータの自動生成、製造、施工方法などをクリアした「Prototype Pattern 立涌」を「OSAKA FUORI SALONE 2025」にて展示いたします。 「OSAKA FUORI SALONE 2025」9月10日(水)~16日(火)大阪なんばエリアを中心に開催される世界最大の家具見本市「ミラノサローネ」と同時に開催されるデザインの祭典「フォーリサローネ」の日本版として、ミラノの姉妹都市である大阪市でプレ開催されるものです。テーマである“陶酔するライフスタイル”の下、【住】(建築・家具他)を中心に、“アート性の高い暮らしを潤すモノやコト”の魅力発信を図るべく大阪府市内の関連ショールーム(店舗)、関連施設(ギャラリー他)を活用し、展示・体験・ステージプログラムを実施されます。 「 OSAKA FUORI SALONE 2025 」特設サイト OSAKA FUORI SALONE 2025Prototype Pattern 立涌平面的な文様を紐解き、立体的な文様としてにプログラムにより生成されたデザインです。3Dプリンターによる造形技術を組み合わせて、これまでにない装飾の可能性を示します。生成されたデザインは同じものは二つとなく、最終工程では職人による釉薬(ゆうやく)を施すことで、デザインの美しさと素材としての揺らぎや深みが生まれ、光のあたり方によって豊かな表情を見せるようになります。デジタルの精密さと、職人の感性が重なり、新しい内装建材としてのセラミックの可能性を示します。ローランド ディー.ジー.株式会社についてローランド ディー.ジー.株式会社は「世界の創造(ワクワク)をデザインする」をパーパスに掲げ、誰もが手軽に表現やものづくりを行えるデジタルソリューションを通じてより豊かな社会の実現を目指します。主力製品の業務用インクジェットプリンターは、広告・看板からインテリア装飾まで幅広いビジュアルコミュニケーション用途で活用されています。また、個人のニーズに合わせたグッズのパーソナライズや、少量多品種のカスタマイズ生産を実現するプリンターやカッティングマシン、3Dものづくり製品などにより、デジタルファブリケーションの新しい可能性を開拓しています。近年では、プリント業務の生産性向上を実現するコネクテッドサービスや、独自のシステムで中小製造業の生産現場を改善するクラウドサービスを提供し、デジタルトランスフォーメーションの推進に積極的に取り組んでいます。 

イベント

ロケットタンクスピーカー「DEBRIS(デブリ)」リリースパーティー、宇宙の廃材が奏でる音楽体験

noon by material record × &SPACE PROJECT「DEBRIS」リリースイベントレポート2025年6月27日、東京・日本橋にあるホステル「CITAN」にて、ロケットの燃料タンクから生まれたスピーカー「DEBRIS(デブリ)」のリリースイベントが開催されました。素材の記憶に耳を澄まし、音のなかに宇宙と地球のあいだを感じる一夜。会場には、宇宙開発や素材の循環、音楽に関心のある人々が集い、「DEBRIS」がたどってきた旅路に耳を傾けました。「DEBRIS」は、北海道・大樹町にある民間ロケットの試験用燃料タンクを素材に、音響装置として再構築したスピーカー。地球資源と音をテーマに探究する「noon by material record」(乃村工藝社)と、宇宙をもっと身近な存在へとひらく「&SPACE PROJECT」による協働で誕生しました。本イベントでは、DEBRISが旅してきた時間と場所を伝えるトークセッション、オリジナル楽曲の視聴会、DJプレイが展開されました。「DEBRIS」特設サイト  DEBRIS | ROCKET TANK SPEAKERスピーカーを通して語られた、プロジェクトの背景と宇宙産業の現在地トークセッションには、&SPACE PROJECTの中井章郎(DOKASEN)氏、noon by material recordの後藤慶久(乃村工藝社)氏が登壇。さらに、北海道大樹町役場より、宇宙港「北海道スペースポート」に関する応援メッセージも寄せられました。「世界では今、毎日のようにどこかでロケットが打ち上げられています。宇宙は遠い存在ではなく、私たちの生活にも影響する“となり”になりつつあります。だからこそ、このプロジェクトはロケット産業のまち・北海道大樹町と連携し、廃材となる燃料タンクを使ってスピーカーをつくることに意味があると考えました」(中井氏)そして「DEBRIS」のデザインを手がけた小山田創(乃村工藝社)と楽曲制作を担ったトラックメイカーGONNO氏が加わりスピーカーと楽曲に込めた意図が語られました。「無重力の空間では、上下も前後も曖昧になります。DEBRISは、そうした宇宙的感覚をかたちにするため、音が全方位に広がる“無指向性”の構造としました。素材の質感や、浮遊するような構成は、時間と空間の境界をあいまいにします。素材の声に耳を傾けることで、何かが見えてくる──そんな存在になればと願っています」(小山田氏)この日披露された楽曲「Universe and Universal Life」は、トラックメイカー・GONNO氏による新作。北海道・大樹町で収録された風や波、ビーコンの音といったフィールドレコーディング素材をもとに構成され、DEBRISから再生されました。「“Universe”は宇宙、“Universal Life”は普遍的な生活。この二つが並ぶことで、非日常と日常が溶け合うようなイメージが浮かびました。音づくりの面では、未来的な技術の質感と、自然に寄り添う優しさが共存するサウンドを目指しました」(GONNO氏)“DEBRIS”が揺らした夜の余韻夜も更けるころ、GONNO氏と増村和彦氏、によるDJプレイが始まると音はさらに場の密度を高めていきました。DEBRISに宿る素材の記憶が、会場を揺らし東京の夜に新しい余韻を刻んでいきます。来場者の多くが音楽に身を任せ、ときに言葉を交わしながら、互いに感じた可能性を語り合っていました。音は媒体であると同時に、記憶の装置であり、対話の導火線にもなり得る──そう実感できる夜となりました。【イベント概要】イベント名:「DEBRIS」release party日時:2025年6月27日(金)会場:CITAN(東京都中央区日本橋大伝馬町15-2)主催:noon by material record × &SPACE PROJECT出演:GONNO、増村和彦、Okazaki Keigo(DJ)本イベントのメディア掲載情報についてはこちら

お知らせ

床のデザインは人の心に影響を与える?「デザイナーの暗黙知を明文化する実証実験チーム」CHI 2025 Late-Breaking Work 採択

2025年4月、乃村工藝社 歓びと感動学「デザイナーの暗黙知を明文化する実証実験チーム」と「慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科Embodied Media Project (南澤孝太教授)」 が共同で進めてきた研究論文が、国際会議「CHI 2025」のLate-Breaking Work(LBW) Track に採択され、学会発表を行いました。 論文タイトル:Understanding the Floor Experience: A Case Study of the Soft and Hard Floor Material Effect on Subjective Impression of the Exhibited Objects著者: Burcu Nimet Dumlu, Kiryu Tsujita, Takatoshi Yoshida, Arata Horie, Tatsuya Saito, Yuh Yoshie, Kiyotaka Tani, Hisaaki Yokoyama, Keita Aono, Kouta Minamizawa本プロジェクトは、我々がこれまで空間デザインの実践において、天井・壁・床といった空間要素を多角的にデザインしてきた中で、今まで暗黙知として扱われてきた「歓びと感動」の感覚を、学術的・科学的手法によって解明・言語化することを目的としたものです。今回の研究では、特に「床面」に着目。床面は、日常生活において人が常に接している面であり、空間との最も直接的な接点です。そのため、空間デザインにおいてもその見た目や踏み心地は重要なデザイン対象とされてきましたが、床のもつ触覚的感覚が身体や認知に及ぼす影響については、十分に分析されてきませんでした。そこで、我々は、作品鑑賞という繊細な認知行動を対象に、床面の触覚的な質感が人の印象評価にどのような影響を与えるかを実証実験によって検証を行い、身体的な感覚と認知の関係性を科学的に分析することで、空間デザインの新たな評価軸を提示しました。この研究成果は、空間体験における「歓び」や「感動」をより高精度にデザインするための基盤となるものであり、今後の空間創造における指針となることが期待されます。■学会詳細学会:The ACM CHI conference on Human Factors in Computing Systems開催日:2025年4月26日~5月1日開催場所:パシフィコ横浜、日本論文URL:https://dl.acm.org/doi/10.1145/3706599.3720112

お知らせ

NOMURA OPEN LAB 2025、未来志向の熱気に包まれた2週間

新たにオープンした研究拠点Creative Lab. にて、わたしたち未来創造研究所の多岐にわたる研究テーマを、22本のトークセッションと展示でご覧いただくNOMURA OPEN LAB 2025。当初見込みを大きく上回り、400名を超える社外のお客様にご来場いただきました。 今年は各研究が飛躍的に進んだこともあり、具体的なテーマを深掘りするセッションを展開。そのため、同じ関心や課題を持つお客様にお集まりいただき、熱いディスカッションが広がりました。 上の画像は、トークセッション『感動プロファイリングを通じて見えてきたこと』の様子。乃村工藝社が生み出す「歓びと感動」における“感動”とは何か。どのような時に“感動”が芽生えるのか、“感動”にはどのようなパターンがあるのか、そのプロファイリングに挑むという壮大なテーマ。この日は一緒に研究を進めている東洋大学・戸梶教授にもお越しいただき、心理学の専門知からお話しをいただきました。 国内外のさまざまなサステナブル素材を厳選し、「レコードショップ」をイメージして実際に手に触れられるコーナー。海洋プラスチックから生まれた板材、廃棄食材(例えばカレーライスも!)を熱プレスしたタイル材など、“探し出す楽しみ”を感じていただける演出になっています。建築・内装・ディスプレイの多ジャンルのマテリアルを横断的にご覧いただけます。 夕方からは、食事を交えた交流の時間に。引き続き研究テーマを語り合ったり、展示を手に取りながらアイディアを出し合ったり、未来志向のディスカッションが会場全体で花開いていました。ケータリングは、もったいない野菜使って持続可能な農業を支援する「ファームキャニング」さんより。味はもちろん、見た目も華やかに楽しみました。 乃村工藝社グループとしても新たな試みとなった研究交流会ですが、ビジョンを同じくする皆さまと「空間の未来」について熱く語り合うことができ、新たなクリエイティブへの可能性が実感できました。このような場を継続し、未来のしあわせな空間が生み出していきたいと思います。 ▶イベントのプログラムはこちらです▶ファームキャニングさんのリンクはこちらです  

イベント

新感覚音声MRゲームコンテンツ 「SOUND SEEK powered by oto rea」をDIC実証事業として開催します。

株式会社乃村工藝社は2025年2月7日(金)から2月16日(日)の期間、臨海副都心ウエストプロムナード周辺で新たなゲームコンテンツ「SOUND SEEK powered by oto rea」を実施します。今回の実証イベントは、Digital Innovation City協議会の実証事業として実施するもので、街の中に配置された音を集めてチームで競い合う新感覚の音声MRゲームとなります。既存の空間に新たな設備等を追加することなく、新たなコンテンツサービスを提供することが出来る仕掛けで、公園など公共空間の新たな楽しみ方・魅力づくりに取り組む試みとなります。この実証コンテンツは、当社が株式会社GATARI(以下、GATARI)の技術協⼒のもとで制作する⾳響体験サービス「oto rea(オトリア)」を活用した初めての対戦型音声MRゲームとなります。最大6名での対戦型ゲームで、臨海副都心ウエストプロムナード滝の広場周辺の実空間にひもづけられた目に見えない仮想空間上の音源(サウンド)を、耳を澄ますことで探し出し、相手より早く獲得することを競います。ゲーム体験時間は約10分程度で、参加は無料です。体験希望の方は、こちらから応募ください。《SOUND SEEK powered by oto rea 参加体験者 募集要項》会場:東京臨海副都心 ウエストプロムナード 滝の広場 周辺エリア日程:2/7(金)~2/16(日) (※2/12、2/13はビジネスDayのため除く)時間:10:00~17:00(各回1時間区切り)受付場所:青海フロンティアビル1階受付ブース(東京都江東区青海2丁目4-24)体験所要時間:30分程度(※体験前の説明及び体験後のアンケート回答まで含む)定員:各回6名参加費用:無料参加条件・おひとり様でも複数人・グループでも参加いただけます。(1回あたり最大6人まで)・iPhone iOS 15.0以降、iPhone13Pro以上の端末(ProもしくはProMaxシリーズ推奨)をお持ちの方・上記のの端末に専用アプリ「Auris」をインストール可能な方※ただし上記条件に合わない方でも、現地にて端末貸出しも可能です。参加方法:下記応募フォームで事前お申込みください。日程調整の後、ご連絡いたします。参加予約フォームへ<Digital Innovation Cityとは>東京都は、デジタルの⼒で東京のポテンシャルを引き出し、都⺠が質の⾼い⽣活を送る「スマート東京」の実現を⽬指しており、臨海副都⼼は先⾏実施エリアの⼀つとなっています。臨海副都⼼では、「デジタルテクノロジーの実装」と「スタートアップの集積」を推進する「ベイエリアDigital Innovation City」(DIC)の実現に向けた取組を進めています。具体的には、スタートアップ等が開発する新たなサービスを誰もが活⽤しやすい仕組みづくりを進めていきます。そして、エンタメをはじめ、このまちの特⾊を活かし、様々な先端技術を活⽤した新たな取組を進めることで、まちの魅⼒を⾼め、賑わいを創出していきます。<DIC協議会とは>DIC協議会は、東京都(港湾局)、エリアマネジメント、研究機関、地元企業といった臨海副都⼼に関わる団体等が連携し、臨海副都⼼におけるDICの実現に向けて協議することを⽬的として、令和3年3⽉30⽇に設⽴し、活動しています。  ■昨年度実施した関連プロジェクトOdaiba Time Slip

イベント

NOMURA OPEN LAB 2025を開催します!

「創造的研究機関」をコンセプトに活動する未来創造研究所の研究発表を、下記の通り開催します。※一部内容を1/13 に更新しております。■概要「創造的研究機関」をコンセプトに活動する未来創造研究所。新たにオープンした研究拠点(仮称)Creative Lab. にて、2024年度の研究テーマを展示とトークセッションで発信いたします。空間の未来をアップデートするテーマを、一緒に語りにいらしてください。会場 株式会社 乃村工藝社 (仮称)Creative Lab.    (東京都港区台場2-3-5 台場ガーデンシティビル2階)会期 2025年1月24日(金)~ 2月7日(金)登録 プログラムごとの事前登録制主催 乃村工藝社 クリエイティブ本部 未来創造研究所定員 各トークセッションにつき 30名参加登録については、下記フォームにアクセスの上、ご予約ください。参加登録フォームへ ■プログラム内容■研究紹介展示会期中、未来創造研究所で進めている研究内容の一部を紹介しております。本イベント期間中に現地にお越しいただければ、内容をご紹介させていただきます。■参加予約参加登録については、下記フォームにアクセスの上、ご予約ください。参加登録フォームへ 

イベント

MIDNIGHT PIZZA CLUB Special Exhibitionにて「noon by material record」を展示

2024年12月13日(金)~15日(日)MIDNIGHT PIZZA CLUB Special Exhibition俳優の仲野太賀氏・TVディレクターの上出遼平氏・写真家の阿部裕介氏の3名による旅サークル『MIDNIGHT PIZZA CLUB』とのコラボレーションが決定しました。2024年12月12日に発売される、旅の記録をまとめた書籍『MIDNIGHT PIZZA CLUB 1st BLAZE LANGTANG VALLEY』の出版記念イベントに、音響装置「noon by material record」(以下 noon)を展示します。12月13日~15日に開催される同イベントでは『MIDNIGHT PIZZA CLUB』が旅の途中で撮影したネパールの写真が展示されるほか、上出遼平氏が旅先で収集した音源から制作したアンビエント・サウンドを「noon」でお聴きいただけます。 MIDNIGHT PIZZA CLUBについて 仲野太賀・上出遼平・阿部裕介により結成された旅サークル。ヒマラヤ山脈に位置するランタン谷を歩いた旅を綴った書籍第一弾が2024年12月刊行。第二弾にアメリカ北東部アパラチア山脈の旅、第三弾にニュージーランドの旅をまとめた書籍を刊行予定。 ◾️ MIDNIGHT PIZZA CLUB Special Exhibition 開催概要 ◇日時:2024年12月13日(金)~15日(日)11:00 ~ 18:30 ◇場所:StandBy ◇入場無料 東京都渋谷区神宮前5-11-1   https://maps.app.goo.gl/xECxDd2Et5NCxS4e7 

コラム

口コミのつぎにくるのは「生コミ」?

こんにちはNOMLAB・プランナーの阿部です。施設開発にあたってのコンセプト開発やサービスデザインをしています。特にエンタメ領域が得意です。(ご紹介はこちら)先日の海外出張での一コマ。空港では出国手続きの機械化が進み、おなじみの大行列が改善されてきた昨今。スイスイ進む自動レーンをよそ目に、行列をなしている有人レーンが目につきました。なぜだろうと加わってみて納得、その正体は、パスポートへの出国スタンプを希望する人々の行列でした。遠方の地まで来たことを証明するスタンプコンテンツ。場所とコンテンツの親和性を再認識した一コマでした。今日はこんな「場所とコンテンツ」をお題に、新しい世界を妄想してみたいと思います。示唆1:位置情報の共有場所をコンテンツに昇華させているのは、やはり「位置ゲー」でしょう。その場所に行かないと手に入らないアイテム、その場所に行かないとはじまらない展開があり、位置ゲーは「場所」を上手に価値へと変換しています。実際に地方自治体が位置ゲーとの連携を進める事例も増えているように、コンテンツと位置情報の融合は有効性の高い手段といえます。これをひとつの軸足に、考察をもう一歩進めてみたいと思います。示唆2:バイタルデータの共有先般、ピラミッドフィルムクアドラさんのオフィスで「もし壁」というコンテンツを体験させていただきました。お互いに壁ドンをして、ドキドキが最高潮に達したらメッセージ交換できるという何ともいじらしいコンテンツです。個人的にこの体験のミソは「バイタルデータ」の共有にあると感じました。体温、脈拍、発汗のバイタルデータが分析され相手に共有されることで、普段は目にはみえていない新しい尺度が加わり、いじらしいコミュニケーションへと発展しています。idea seeds:位置情報とバイタルデータを組み合わせた「生コミ」サービスこれらの示唆をふまえて、位置情報とバイタルデータをかけあわせたコンテンツを妄想してみます。スマートウォッチ、スマートリングなどのウェアラブルデバイスから取得できるバイタルデータを、端末の位置情報と紐づけて分析・公開するサービスです。世界各地でのバイタルデータの変化を「興奮度」「緊張度」「リラックス度」などの指標で、地図アプリ上から確認することができるものです。これが実現すると例えば、・展示会のとあるパビリオンが、人々をものすごく興奮させている・一見地味な地方テーマパークのお化け屋敷が、人々を異様なまでに怖がらせている・商店街の老舗銭湯サウナが、人々を日本一整わせている・人里離れたシークレット野外フェスが、人々の心拍を爆上げさせている…みたいなことが見て取れるようになります。その場所その場所の特性がバイタルデータによって見える化されることで、そこへの注目や人流が変わるきっかけにもなっていくでしょう。今は口コミ評価の信頼性が高いですが、より客観性の高いバイタル評価は将来、口コミを超える評価基準になるかもしれません。それは名付けるならば、口コミならぬ「生コミ」(生体データ・コミュニケーション)とでもいいましょうか笑。高齢者の見守りサービスや、建設現場の作業者安全管理サービスなど、位置情報とバイタルデータを組み合わせたサービス開発が各所で進むように、Google Mapに「生コミ」が組み込まれる日も近いのかもしれません。人々の「生コミ」が共有された世界。ポスト・インフルエンサー的な職能として、人々の胸の高鳴りをあげる「テンション・クリエイター」が登場しているかもしれませんね。プランナーがそんな職能を担っていたいなと妄想を膨らませながら、本日のidea seedsはここまでとさせていただきます。

コラム

空間と体験に溶けるナビ

こんにちは、NOMLABの永野です。 空間デザインを主軸に、映像や光といったデジタルな演出と空間との橋渡しをしています。そんな私は趣味兼ダイエットとして、サイクリングをしています。そもそも運動嫌いで、元々サイクリングにも全く興味が無かったのですが、十数年乗っていた自転車が壊れた時にたまたま中古のスポーツバイクを買ったことがきっかけではまってしまいました。そもそもがめんどくさがりなので、無駄なことはしたくありません。ところが都内周辺はドアtoドアで考えると電車と同じくらいの時間で目的地に到着できることにまずは驚きました。そんなこんなで普段の移動を自転車にしていたらだんだんと距離感がバグり、「20Km?近いな」、みたいな感じ方になってしまいました。自転車の頼れる相棒はナビです。どんな移動手段でもそうですが、ナビさえつけておけば必ず目的地にたどり着けるという安心感があります。そして道を間違えて無駄なことをしてしまったなぁ、といった後悔も生まれません。ところで、自転車のルート検索は歩行や車のナビよりも難しいことが多いです。坂道や砂利道、風の影響などを考慮して最適な経路を探すのは難しいのです。その結果かはわかりませんが、ナビは同じ出発地と到着地でも微妙に異なるルートを案内することがあります。行ったことがある道ですからナビに従わなくてもたどり着けるのですが、そこで試しにナビに従ってみるとこんな道があったのか、という新しい発見があったりします。案内されたルートは基本的にはナビが導き出した”最短”経路というお墨付きがあり、それでいて今まで通ったことのない場所への気づきという楽しさを提供してくれる。もちろん気の向くままに移動してみる冒険の楽しさというものはありますが、この時間のない現代において納得感のある冒険を提供してくれるシステムはとてもありがたい存在です。世界の広さを変えたナビナビという話で言うとGoogleとスマホの登場によって旅行の体験が大きく変化したということはよく言われているかと思います。特に昔を思い返してみても海外旅行の変化はすさまじいものがあります。以前の海外旅行は事前のリサーチにもかかわらず、全然思い通りに行かず冒険の連続でした。しかし昨今ではGoogleで検索すればほとんどの情報が手に入り、道に迷うことはほとんどありません。言われた通りに電車に乗って歩けば目的地についています。まるで同じ日本にいるのかと思う位には世界の体感としての広さは急激に狭くなりました。そんな物足りなさを、まるで青春を懐かしむような感情を持ちながらも、では海外旅行が楽しくなくなったのかというとそんなことはありません。ベーシックな移動の最適化は結果としてローカルな冒険を楽しむ機会や時間を増やすことにつながりました。人々の移動体験と空間体験はナビという仕組みによって激しく日々変化しています。空間の中にはナビとしての要素が溢れているここで自分の主戦場である空間設計に視点を向けてみます。どんな建物にもたいていサインや案内板があります。最近はデジタルサイネージ等で案内を表示することも多いでしょう。また、直接的なサイン以外にも空間の形状や明るさ等によって人を誘導したり、建具によって動きをコントロールしたりと、様々な手法で人々をナビしています。こういったサインの手法は太古の昔から行われており、何なら日本はこういったサインが過剰とすら言われています。コンビニのコーヒーメーカーに大量のテプラが貼ってある画像を見たことがある人も多いかもしれません。では前段で話していたナビと、この昔からある空間のナビの大きな違いは何でしょうか。主観ではありますが・デジタル化されている・パーソナライズ化されているこの二つがとても重要ではないかと思っています。そしてその中に更にあいまいさ、遊び心、ちょっとした無駄を設けてあげることでサイクリングのようにより空間体験が豊かで楽しく、かつ直感的でスマートな体験が生まれるはずです。デジタル化、パーソナライズ化されたナビを空間に取り込もうスマホを見て歩いていたら周りの景色を見逃した、そんなことがよくあると思います。もちろんナビはスマホや専用端末であるからこそ高いパーソナライズ化を達成できますし、最大限の機能を発揮しますが、近年の技術の進歩によってそういった機能が空間にも取り入れられる土俵が整ってきています。ソフトウェア的側面はスマホ等のナビとある程度共通化できるという考えでいうと、空間として注目するべきはハードウェアです。近年の技術革新にはわかりやすく派手なデジタル技術よりも、設計思想や仕組みにデジタル技術を取り入れることで従来の素材や機能性に新たな付加価値を与えるような分野が多いです。一見従来の建材のような見た目でありながら、その背後から実はデジタル制御された光、音、匂いといった要素がリアルタイムに表出する、そういった素材・表現の技術です。まだまだ普及レベルにはいたっていないですが近い将来普段の内装設計の素材選定の中で当たり前のようにそういった技術・素材を選択する時代が来るでしょう。例えば、、普段何気なく腰掛けるようなベンチが絶妙な振動でその場との一体感をより盛り上げてくれる、逆にうとうとしている時に寝過ごしてはいけないタイミングで起こしてくれるかもしれません。空間ごとに細かく制御された香りがその場でリラックスしたい人に影響を与えずにお腹がすいている人だけをレストランがあるエリアへと導くといったことも近い将来実現しそうです。何気なく壁を触ってみると振動や暖かさで熱気を感じる(実は壁の向こうでライブが行われている)みたいなことがいたるところで起きていると街歩きがもっと楽しくなりそうです。空間として重要なマテリアル感のある空間から必要な時だけ光や音、におい等で情報が浮かび上がりナビをしてくれる。そしてその情報が近くにいる人をセンシングしてパーソナライズ化されている。そんな未来の空間を作るべく、色々な技術的情報をキャッチアップしながら日々設計をしていきたいと思います。

Contact

お問い合わせ

お問い合わせ/お見積もり依頼/資料請求は下記よりお気軽にご連絡ください。
※乃村工藝社コーポレートサイト「その他のお問い合わせ」に遷移します
※「未来創造研究所」のお問い合わせとご記載ください